2026年度の最低賃金改定をめぐる審議が大詰めを迎えています。中央最低賃金審議会は7月23日の会合でも結論を出せず、7月27日に持ち越しとなりました。10月からの時給がいくら上がるのか、現時点でわかっていることと、今後の決定の流れを整理しました。
目次
最低賃金改定の全体像
最低賃金は、都道府県ごとに定められた「これを下回って働かせてはいけない」時給の下限です。毎年、厚生労働省の中央最低賃金審議会が7月頃に全国的な引き上げの「目安」を示し、それを受けて都道府県ごとの地方最低賃金審議会が実際の改定額を決定するという二段階の仕組みになっています。
2026年度(令和8年度)の目安審議は例年より難航しており、7月23日の第4回小委員会でも結論が出ませんでした。労働者側は75円の引き上げを求めているのに対し、経営者側は中東情勢の混乱に伴う原材料費高騰などを理由に慎重な姿勢を崩しておらず、両者の隔たりが埋まっていない状況です。審議会は7月27日に第5回会合を開き、月内の決着を目指すとされています。

現行(2025年度)の最低賃金はいくら
2026年度の新しい金額を見る前に、現在(2025年度=令和7年度)の水準を確認しておきましょう。厚生労働省が公表している全国一覧によると、2025年度の全国加重平均は1,121円(前年度1,055円から66円・6.3%の引き上げ)で、これまでで最大級の上げ幅となりました。

画像出典: 厚生労働省公表資料
都道府県別に見ると、最高は東京都の1,226円、次いで神奈川県1,225円、大阪府1,177円などが上位です。一方、最も低い水準は宮崎県・沖縄県の1,023円で、東京都との差は200円以上あります。発効日も都道府県によってばらつきがあり、2025年度は10月上旬に適用が始まった地域が多い一方、答申が遅れた地域では2026年1月や3月にずれ込んだところもありました。
決定までの流れ・スケジュール
2026年度の最低賃金が確定するまでには、次のようなステップを踏みます。
全国をA〜Dのランクに分け、ランクごとの引き上げ目安額を示す。2026年度は7月27日以降にずれ込む見通し。
中央の目安を参考に、地域の実情を踏まえて各都道府県の実際の改定額を審議・答申する。
答申後、労使双方から意見を聞く手続きが行われる。異議が出た場合は審議が長引くことがある。
都道府県ごとに新しい最低賃金が正式決定・告示される。周知期間を経て発効日を迎える。多くの地域で10月からの適用が見込まれるが、都道府県ごとに前後する。

上がった場合の収入シミュレーション
労働者側が求める「75円」の引き上げが仮に実現した場合、月収・年収がどう変わるかの目安は次の通りです(1日8時間・週5日・月20日勤務で試算。実際の増加額は都道府県ごとの改定額によって変わります)。
1日8時間で+600円、月20日勤務で+12,000円、年間では+144,000円程度の収入増が見込めます。
1日8時間で+504円、月20日勤務で+10,080円、年間では+120,960円程度の収入増が見込めます。
時給1,301円となり、フルタイム月20日・160時間勤務では月収が約20万8,160円(現行より約1万2,000円増)になる計算です。
あくまで現時点での試算であり、実際の引き上げ幅は都道府県ごとの答申が出るまで確定しません。政府は2026年7月21日に閣議決定した成長戦略で、全国加重平均1,500円の達成時期を「遅くとも2030年代前半のできる限り早期に」と設定しており、当面は年数十円規模の引き上げが続く可能性が高いとみられています。

注意点・落とし穴
「年収の壁」との兼ね合い
時給が上がると、同じ労働時間でも年収が増えます。学生や配偶者の扶養に入っているパート・アルバイトの場合、年収が扶養控除や社会保険加入の基準(いわゆる年収の壁)に近づくと、労働時間を減らさない限り手取りが目減りすることがあります。時給アップに合わせてシフトを見直す際は、自分の年収がどの基準に近いか事前に確認しておくと安心です。
発効日は都道府県によって異なる
「10月から上がる」という報道が多いものの、実際の発効日は都道府県ごとの答申・告示のタイミングで前後します。2025年度も10月1日から適用された地域がある一方、12月・翌年1月・3月にずれ込んだ地域もありました。自分の勤務先がある都道府県の発効日は、答申が出た後に個別に確認する必要があります。
中小企業では対応が遅れることもある
最低賃金は法律で定められた下限であり、違反すれば罰則の対象になります。ただし、実務上は改定直後の給与計算が間に合わず、翌月の給与で差額調整されるケースもあります。明細を確認し、発効日以降の給与が新しい最低賃金を下回っていないかチェックしましょう。
よくある質問
A. 毎年、中央最低賃金審議会が7月頃に全国的な「目安」を示し、それを踏まえて都道府県ごとの地方最低賃金審議会が実際の改定額を決定します。2026年度は7月23日の会合で結論が出ず、7月27日に持ち越されました。目安が固まった後、8月中に都道府県ごとの答申が出るのが例年の流れです。
A. 2026年7月26日時点でまだ全国目安は確定していません。労働者側は75円の引き上げを主張していますが、経営者側は原材料費高騰などを理由に慎重な姿勢を示しており、隔たりがある状態です。前年度(2025年度)の目安は63円でした。確定額は都道府県ごとに公表される答申を確認してください。
A. 改定の効力発生日(発効日)は都道府県ごとに異なります。2025年度は10月1日前後から適用された地域が多い一方、答申から30日程度の周知期間を置く必要があるため、審議が長引いた地域では11月や12月にずれ込むこともあります。2026年度も同様に地域差が出る見込みです。
A. 時給が上がれば、同じ時間働いた場合の総支給額は増えます。ただし、年収が扶養控除や社会保険の加入基準(いわゆる年収の壁)に近い場合は、労働時間を調整しないと手取りが目減りする可能性があります。特に学生や配偶者の扶養に入っているパート・アルバイトは、年収の壁への影響を事前に確認しておくと安心です。
A. 政府は2026年7月21日に閣議決定した成長戦略で、全国加重平均1,500円の達成時期を「2020年代」から「遅くとも2030年代前半のできる限り早期に」へ後ろ倒ししました。当面は大幅な引き上げが続く可能性が高いものの、1,500円到達には数年単位の時間がかかる見通しです。
A. 確定後は厚生労働省の公式サイトで都道府県別の一覧が公表されます。勤務先の都道府県の地方最低賃金審議会の答申や、厚生労働省の報道発表資料で確認するのが確実です。求人票や給与明細の時給がその金額を下回っていないかも合わせてチェックしましょう。
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【2026-08-05更新】東京都は10月から1280円へ
2026年8月5日、東京都の審議会が東京都の最低賃金を2026年10月から時給1280円に引き上げる方針(答申)を示しました。全国の引き上げ目安(1176円)を上回る水準で、都道府県別では最も高い部類になります。正式な発効日や金額は、今後の公示で確定します。
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まとめ
2026年度の最低賃金改定は、7月23日時点で目安が固まらず7月27日に持ち越されました。労働者側は75円の引き上げを求めていますが、経営者側との隔たりは大きく、確定額はもうしばらく分かりません。現行(2025年度)の全国加重平均は1,121円で、10月前後の発効が見込まれるものの、実際の金額・発効日は都道府県ごとに異なります。ご自身の勤務先の最低賃金は、答申が出た後に厚生労働省や都道府県の公式発表で必ず確認してください。
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※ 本記事の情報は2026年7月26日時点のものです。最低賃金の目安・改定額・発効日は今後の審議会の結論により変更される可能性があります。最新情報は厚生労働省および各都道府県の公式発表でご確認ください。

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