令和8年熊本地震で住宅に被害を受けた場合、修理費用の一部を自治体が負担してくれる「住宅の応急修理」制度が使えます。熊本市の公式資料によると、被害区分により上限額は75万7,000円または36万7,000円です。あわせて国民健康保険料の減免も申請できます。それぞれの対象者・上限額・申請方法を、熊本市の公式情報にもとづいて整理しました。
目次
- ・住宅応急修理制度の全体像
- ・対象になるか(被害区分別)
- ・申請の流れ(ステップ形式)
- ・金額シミュレーション
- ・国民健康保険料の減免
- ・注意点・落とし穴
- ・よくある質問
住宅応急修理制度の全体像

熊本市が公表した「令和8年熊本地震被災者支援制度」(令和8年7月29日時点)によると、住まいの修理に関する支援は次の2段階に分かれています。どちらも災害救助法にもとづく制度で、修理費用を熊本市が修理業者に直接支払う仕組みです(被災者が業者に代金を支払ってしまうと利用できなくなるので注意が必要です)。
住家の緊急の修理(被害拡大防止)
雨漏りや外壁剥落など、放置すると被害が広がるおそれがある箇所へのブルーシート展張や簡易補修が対象。上限5万6,400円。申込・完了期限は2026年8月7日
被災した住宅の応急修理(本体)
屋根・床・壁・水道配管・トイレなど、日常生活に必要な部分を修理し住み続けられるようにする制度。上限は被害区分により75万7,000円または36万7,000円。申込・完了期限は2026年10月27日
2つの制度は「一時的な応急処置」と「引き続き住むための本格修理」という役割分担になっています。まず緊急の修理でこれ以上の被害拡大を防ぎ、そのうえで応急修理によって水回りや開口部など生活に不可欠な部分を直す、という順番で使うケースが一般的です。同じ住宅に2世帯以上が同居している場合は、いずれの制度も1世帯とみなされて上限額が適用されます。
対象になるか(被害区分別)
り災証明書で認定される被害区分ごとに、対象になるかどうかと条件が異なります。ご自身のケースを確認してください。
全壊・大規模半壊
応急修理(上限75万7,000円)の対象。資力要件はなく、そのままでは住めない状態であれば申請できる
中規模半壊・半壊
応急修理(上限75万7,000円)の対象。ただし自らの資力では修理できない世帯であることが条件
準半壊
応急修理(上限36万7,000円)の対象。こちらも自らの資力では修理できない世帯であることが条件
準半壊に至らない(一部損壊)
応急修理制度の対象外。ただし雨漏り等で被害拡大のおそれがある場合は「緊急の修理」(上限5万6,400円)の対象になることがある
いずれの制度も、応急修理を行うことで避難所などへの避難を要しなくなると見込まれることが条件です。すでに自宅で生活できている世帯でも、水道やトイレなど日常生活に不可欠な部分に被害があれば対象になります。
申請の流れ

- STEP1 各区役所や総合出張所でり災証明書(住家)を申請し、被害区分の認定を受ける
- STEP2 修理業者を自分で選定し、修理見積書を入手する(国土交通省協力の検索サイトも紹介されている)
- STEP3 熊本市住宅政策課(本庁舎9階、096-328-2449)で事前相談を行い、要件への適合を確認する
- STEP4 申込書・り災証明書・被害状況の写真・修理見積書を提出する
- STEP5 熊本市から修理業者へ依頼が行われ、修理を実施。完了報告書と修理写真を期限内に提出する
金額シミュレーション
被害区分・世帯構成別に、実際にいくらまで支援を受けられるかを整理しました。
ケース1: 半壊・単身世帯
屋根と水道配管の修理見積り70万円 → 上限75万7,000円の範囲内のため全額対象。自己負担0円
ケース2: 大規模半壊・4人世帯
屋根・外壁・トイレの修理見積り100万円 → 上限75万7,000円までが対象、超過分約24万3,000円は自己負担(または他の支援制度と併用を検討)
ケース3: 準半壊・2人世帯
窓ガラスと壁の修理見積り30万円 → 上限36万7,000円の範囲内のため全額対象。自己負担0円
ケース4: 一部損壊で雨漏りあり
応急修理の対象外だが、緊急の修理(上限5万6,400円)でブルーシート展張の費用をカバーできる可能性がある
※同じ住宅に2世帯以上が同居している場合は1世帯とみなされ、上限額は世帯単位で適用されます。上記は制度の仕組みを説明するための試算例で、実際の金額は住宅の被害状況や見積内容により異なります。
国民健康保険料の減免

住宅の修理費用とあわせて確認しておきたいのが、国民健康保険料(税)の減免です。熊本市の制度では、災害により住宅や家財に著しい損害を受けた場合、り災した月の翌月から1年以内の保険料について、被害の程度に応じて20%から100%の範囲で減免を受けられます。後期高齢者医療保険料や、医療機関の窓口で支払う一部負担金についても同様の減免制度があります。
対象になる方
地震により住宅や家財に著しい損害を受けた国民健康保険の被保険者・後期高齢者医療制度の被保険者
減免の範囲
り災月の翌月から1年以内の保険料が、被害の程度に応じて20%~100%減免される(申請が必要)
必要書類・窓口
り災証明書など被災状況が確認できる書類が必要。熊本市国保年金課(096-328-2290)または各区役所保険年金課で申請できる
※減免率は被害の程度や世帯の状況によって個別に判定されます。正確な減免率・必要書類は熊本市国保年金課に直接確認してください。市税(個人市民税・固定資産税)の減免や、水道料金・下水道使用料の減免など、あわせて申請できる制度もあります。
これらの減免制度はいずれも「申請してはじめて適用される」点が共通しています。り災証明書を取得したタイミングで、住宅の応急修理だけでなく、市税・水道料金・国民健康保険料といった各種減免もまとめて窓口で確認しておくと、手続きの漏れを防げます。各区役所の窓口では、複数の制度をまとめて案内してもらえる場合もあるため、まずは総合的に相談してみるのがおすすめです。
注意点・落とし穴
- 先に修理業者へ代金を支払ってしまうと、応急修理制度そのものが利用できなくなる。必ず申請・市の依頼が完了してから修理業者に着手してもらう
- 家電製品は対象外。内装(畳や壁紙の張替えなど)も原則対象外で、床や壁の下地と一体で交換する場合のみ対象になる
- 「緊急の修理」の申込・完了期限は2026年8月7日と短い。ブルーシート展張などが必要な場合は早めに住宅政策課へ相談する
- 「応急修理」の申込・完了期限は2026年10月27日。修理完了だけでなく、完了報告書や修理写真の提出まで期限内に終える必要がある
- 中規模半壊・半壊・準半壊は資力要件があるため、収入や貯蓄の状況によっては対象外と判定される場合がある
- 国民健康保険料の減免は自動適用ではなく申請が必要。り災証明書を取得したら、住宅の手続きとあわせて国保年金課にも早めに相談する
よくある質問
Q. 応急修理の上限75万7,000円はどんな費用に使えますか?
A. 屋根や床、壁、ドアなどの開口部、上下水道の配管・配線、トイレなどの衛生設備といった、日常生活に必要不可欠な部分の修理費用が対象です。家電製品や、下地と切り離した内装の張替えのみといった修理は対象外です。
Q. 賃貸住宅でも応急修理制度は使えますか?
A. 借家は原則として所有者・管理者が修理を行うものとされていますが、所有者・管理者が修理をせず、居住者の資力でも修理できないために住む場所を確保できない場合は、所有者・管理者の同意を得たうえで制度を利用できる場合があります。詳しくは住宅政策課に相談してください。
Q. すでに自分で修理業者に依頼してしまいました。制度は使えますか?
A. 修理業者に代金を支払ってしまうと、この制度は利用できません。まだ支払いをしていない場合は、先に住宅政策課へ相談してください。
Q. 「緊急の修理」と「応急修理」は両方申請できますか?
A. 「緊急の修理」は被害拡大を防ぐための応急的な補修(ブルーシート展張など)、「応急修理」は生活に必要な部分を本格的に直す制度で、目的が異なります。まずは緊急の修理で被害拡大を防ぎ、そのうえで応急修理を申請するという使い方も可能です。詳細な条件は住宅政策課に確認してください。
Q. 国民健康保険料の減免はどこで申請しますか?
A. 熊本市国保年金課(096-328-2290)または各区役所の保険年金課で申請できます。り災証明書など被災状況が確認できる書類が必要です。後期高齢者医療制度に加入している方も同様の窓口で相談できます。
Q. 応急修理と生活再建支援金は両方もらえますか?
A. 応急修理は修理費用そのものへの現物的な支援、被災者生活再建支援金は生活再建のための現金給付で、制度の目的が異なるため、要件を満たせば両方を利用できる可能性があります。それぞれの対象要件は別記事で解説していますので、あわせてご確認ください。
まとめ
熊本地震で被害を受けた住宅は、被害区分に応じて上限75万7,000円(全壊~半壊)または36万7,000円(準半壊)の応急修理制度を利用できます。緊急の修理は申込・完了期限が2026年8月7日、本体の応急修理は2026年10月27日までと期限が異なるため注意が必要です。あわせて国民健康保険料も20%~100%の範囲で減免が受けられる場合があるので、り災証明書を取得したら住宅政策課と国保年金課の両方に相談しましょう。
※本記事は熊本市公表の「令和8年熊本地震被災者支援制度」(令和8年7月29日時点)等をもとに作成しています。制度の詳細・最新の申請期限は熊本市住宅政策課・国保年金課の公式発表でご確認ください。

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