2026年7月28日に発生した熊本県を震源とする一連の地震(令和8年熊本地震)を受け、政府は8月3日に高市早苗首相が被災地入り、激甚災害への指定方針を表明しました。8月4日には予備費242億円の使用を閣議決定し、プッシュ型物資支援・救助業務・災害復旧の3本柱で被災地対応を迅速化する方針が固まっています。指定されると何が変わるのか、対象エリアや支援内容、今後のスケジュールを整理します。
目次
- ・激甚災害指定とは
- ・地震発生からの経緯
- ・熊本地震の現状と首相視察
- ・対象になる支援・条件
- ・指定前後で何が変わるか
- ・特定非常災害指定との違い
- ・注意点
- ・よくある質問
【8月8日更新】8月7日の閣議で「激甚災害」に指定を正式決定
政府は8月7日の閣議で、令和8年熊本地震を「激甚災害」に指定することを正式に決定した。8月3日に高市早苗首相が表明した方針が政令ベースで固まり、被災した自治体を対象に、公共土木施設や農地などの復旧事業に対する国の補助金割合が通常より引き上げられる。
あわせて、運転免許証の有効期間延長など行政手続きの特例を適用できる「特定非常災害」にも指定される方針で、被災者の生活再建に必要な各種手続きの負担が軽減される見通しだ。
出典: ライブドアニュース「令和8年熊本地震『激甚災害』に指定決定」(8/7)
激甚災害指定とは
激甚災害制度は、「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(激甚災害法)」に基づき、著しい被害を及ぼした災害について国が指定し、被災した自治体や事業者への財政支援を通常より手厚くする仕組みです。指定には大きく2種類あります。
本激(全国激甚災害)
全国どこでも適用される支援措置。市町村単位の被害要件を問わず、都道府県全域が対象になりやすい
局激(局地激甚災害)
被害が大きい市町村単位で指定される措置。年度末にまとめて指定されることが多い
政府は今回の熊本地震について、市町村単位の被害集計を待たず早期に支援を行き渡らせるため「本激」での指定を目指す方針を示しています。近年では令和6年1月の能登半島地震でも、被害の全容確定を待たずに早期の本激指定が行われた例があり、今回もこうした前例を踏まえたスピード対応が想定されています。
地震発生からの経緯
- 7月28日 熊本県内を震源とする地震が発生。氷川町などで最大震度6強を観測し、住宅被害や断水・停電が広範囲で発生
- 7月28日以降 余震が断続的に続き、避難所生活を送る住民が多数に上る。り災証明書の申請受付が7月30日から順次開始
- 8月3日 高市早苗首相が熊本入りし、避難所や県庁、現地対策本部を視察。激甚災害指定への方針を表明
- 8月4日 政府が予備費242億円の支出を閣議決定。プッシュ型物資24億円・救助業務12億円・災害復旧206億円の内訳で、激甚災害(本激)指定と特定非常災害指定も方針が示された
熊本地震の現状と首相視察

高市首相は8月3日、熊本県を訪れ、震度6強を観測した氷川町の避難所を視察し、被災者と直接言葉を交わしました。避難所では断水や停電が続く地域も残り、猛暑の中での生活再建が急務となっています。

県庁では木村敬知事と意見交換を行い、県側からは住宅再建や中小企業支援に対する財政措置の要望が伝えられました。首相は現地対策本部にも足を運び、被害状況の報告を直接受けています。

対象になる支援・条件(ケース別)
激甚災害に指定されると、被害の種類ごとに次のような支援メニューが用意されます。誰が対象になるかをケース別に整理しました。
自治体(道路・河川・農地など公共土木施設)
災害復旧事業の国庫補助率が引き上げられ、自治体の実質負担が軽くなる。住民が直接申請する手続きはない
中小企業・小規模事業者
災害関係保証(セーフティネット保証4号など)の融資枠が拡大し、通常より有利な条件で運転資金・設備資金を借りやすくなる
農林漁業者
農地・農業用施設や共同利用施設の復旧費用について補助のかさ上げが適用される
被災した個人・世帯
激甚災害指定そのものは個人への直接給付ではないが、指定を前提に予備費が投じられ、応急修理や生活再建支援金などの財源が確保される
このように、激甚災害指定は「誰か一人が申請すれば全員に給付される」制度ではなく、公共インフラ・事業者・農林漁業者それぞれの復旧を国が財政面から後押しする仕組みです。被災した個人が具体的な支援を受けるには、後述するり災証明書の取得を起点に、各制度へ個別に申請していく必要があります。
申請・手続きの流れ
激甚災害の指定自体は個人が申請するものではなく、国が政令で指定するかたちで進みます。被災者側の主な動きは次のステップです。
- STEP1 り災証明書を市町村の窓口で申請し、被害の程度(全壊・大規模半壊・半壊・準半壊など)の認定を受ける
- STEP2 り災証明書をもとに、住宅の応急修理や被災者生活再建支援金など各種支援制度に申請する
- STEP3 事業者は取引金融機関や商工会議所を通じて、セーフティネット保証など災害関連融資の相談を行う
- STEP4 自治体・国の間で復旧事業の国庫補助手続きが進み、道路や河川などのインフラ復旧が本格化する
指定前後で何が変わるか
指定前
公共土木施設の復旧費用は国と自治体の通常割合で分担。中小企業向け保証は通常の一般保証枠が中心
指定後
国庫補助率が引き上げられ自治体負担が軽減。セーフティネット保証4号の対象地域に追加され、事業者は保証枠が別枠で拡大
8月4日閣議決定(確定)
2026年度予算予備費から242億円の支出を閣議決定。プッシュ型物資支援24億円、救助業務(仮設住宅提供など)12億円、災害復旧(九州道など)206億円の3本柱で当面の対応財源を確保
特定非常災害指定との違い

政府は激甚災害指定とあわせて「特定非常災害」への指定も検討しています。これは「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律」に基づく制度で、運転免許証の更新期限やパスポート、各種行政手続きの期限を自動的に延長できる点が特徴です。激甚災害が主に復旧事業への財政支援であるのに対し、特定非常災害は被災者の生活上の手続き負担を軽くする仕組みという違いがあります。両方の指定が実現すれば、財政面と手続き面の両方から支援が強化されることになります。
激甚災害指定のスケジュール感
激甚災害の指定は、被害額の集計と査定を経て政令で公布されるため、発災から一定の期間を要するのが一般的です。ただし本激の場合は被害の全容が固まる前に「見込み」で早期指定される運用も過去に例があり、政府は今回もできるだけ早い段階での指定を目指すとしています。正式な指定日や適用範囲の詳細は、内閣府防災担当の発表を確認してください。
また、企業や個人からの寄付・義援金による支援も並行して広がっており、大手企業からの多額の寄付表明も相次いでいます。行政の財政支援と民間からの支援の両輪で復旧が進められている状況です。
注意点・落とし穴
- 激甚災害指定は自治体・事業者向けの財政支援が中心で、個人への直接給付を意味するものではない。個人向けの現金給付は生活再建支援金など別制度で申請が必要
- 指定される支援措置の対象地域(市町村)は政令公布まで確定しない。熊本県内でも被害の大きい地域から順に対象が広がる可能性がある
- セーフティネット保証など事業者向け支援は、市町村長の認定など別途手続きが必要になる場合が多い。指定=自動適用ではない点に注意
- 予備費の使途や金額は閣議決定後に確定情報が出るため、報道段階の数字は変動する可能性がある
- 局激(局地激甚災害)の指定は被害集計の関係で年度末に確定することが多く、本激より結果判明までの時間がかかりやすい
よくある質問
Q. 激甚災害に指定されると、個人にお金が支給されますか?
A. 激甚災害指定そのものは自治体の復旧事業や事業者向け融資保証への財政支援が中心で、個人への直接給付ではありません。個人が受け取れる支援金は、被災者生活再建支援金や住宅の応急修理制度など別の制度で、り災証明書をもとに個別に申請する必要があります。
Q. 本激と局激はどちらが有利ですか?
A. 本激(全国激甚災害)は市町村単位の被害要件を問わず都道府県全域が対象になりやすく、局激より早い段階で指定されることが多いのが特徴です。被害の大小だけで単純に優劣が決まるものではなく、適用される支援制度の組み合わせによって効果は変わります。
Q. 予備費242億円は何に使われますか?
A. 8月4日の閣議決定で総額242億円の支出が正式に決まりました。内訳はプッシュ型物資支援(水・食料・段ボールベッド・移動式エアコンなど)に約24億円、都道府県が行う仮設住宅提供などの救助業務に約12億円、九州自動車道の橋梁応急復旧などの災害復旧に約206億円です。避難所運営や住宅の応急修理を含めた被災地対応を迅速化する狙いがあります。
Q. 特定非常災害に指定されると何が変わりますか?
A. 運転免許証やパスポートの更新期限、各種行政手続きの期限が自動的に延長される措置が適用されます。役所の窓口が混雑している場合や、被災で手続きに行けない場合の負担を軽減する目的の制度です。
Q. 熊本県内のどの地域が対象になりますか?
A. 正式な対象地域は政令の公布時に確定します。震度6強を観測した氷川町など被害の大きい地域を中心に、被害状況を踏まえて対象が決まる見通しです。最新情報は内閣府防災担当や熊本県の発表を確認してください。
Q. 事業者はいつから融資を申し込めますか?
A. セーフティネット保証などの災害関連保証は、市町村長の認定を受けたうえで金融機関や信用保証協会に申し込む流れになります。指定の公布を待たずに相談を受け付けている場合もあるため、まずは取引金融機関や商工会議所・商工会に問い合わせるのがおすすめです。
Q. 応急修理や生活再建支援金についてはどこで確認できますか?
A. 応急修理の対象・上限額や、国民健康保険料の減免については別記事で詳しく解説しています。生活再建支援金の金額・条件についても関連記事にまとめています。
まとめ
令和8年熊本地震を受け、政府は「本激」での激甚災害指定を目指す方針を示し、8月4日には予備費200億円超の使用を閣議決定する見通しです。激甚災害指定は自治体の復旧事業や事業者向け融資保証への支援が中心で、個人が受け取れる支援金は別制度での申請が必要になります。あわせて検討されている特定非常災害指定にも注目しつつ、最新情報は内閣府防災担当や熊本県の発表で確認しましょう。
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※本記事の内容は2026年8月4日時点の報道・政府発表にもとづいています。指定の正式な範囲や支援内容の詳細は変更される可能性があるため、最新情報は内閣府防災担当・熊本県の公式発表でご確認ください。
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