熊本地震で事業者が使える支援|融資・保証と相談窓口

経済産業省は2026年7月29日、令和8年熊本地震で被災した中小企業・小規模事業者向けの支援措置を発表しました。熊本県の10市10町1村に災害救助法が適用されたことを受けたものです。

この記事では、どの制度がいくら使えるのかとどこに相談すればいいのかを公式発表にもとづいて整理します。

まず結論
・特別相談窓口が県内の公庫・商工中金・保証協会・商工会議所などに設置
・災害復旧貸付は最大1億5,000万円(中小企業事業・別枠)
・セーフティネット保証4号は売上20%減で100%保証(別枠)
・小規模企業共済の災害時貸付は年0.9%・原則即日・担保保証人不要
・返済中の借入も条件変更の相談が可能




対象となる地域(災害救助法の適用地域)

今回の支援措置の対象は、災害救助法が適用された熊本県内の21市町村です。

区分 対象市町村
市(10市) 熊本市/八代市/水俣市/山鹿市/菊池市/宇土市/上天草市/宇城市/天草市/合志市
町・村(10町1村) 下益城郡美里町/菊池郡大津町/菊池郡菊陽町/阿蘇郡西原村/上益城郡御船町/上益城郡嘉島町/上益城郡益城町/上益城郡甲佐町/八代郡氷川町/葦北郡芦北町/葦北郡津奈木町




1. 特別相談窓口の設置

どの制度を使えるか分からない場合は、まず相談窓口へ問い合わせるのが確実です。熊本県内の各機関に特別相談窓口が設置されています。

日本政策金融公庫
熊本支店 中小企業事業:096-352-9155
熊本支店 国民生活事業:0570-097-290
八代支店 国民生活事業:0570-098-446
商工中金・信用保証協会
商工中金 熊本支店:096-352-6184
熊本県信用保証協会:096-375-2000
商工会議所(主なもの)
熊本商工会議所:096-354-6688/八代商工会議所:0965-32-6191
荒尾商工会議所:0968-62-1211/人吉商工会議所:0966-22-3101
水俣商工会議所:0966-63-2128/本渡商工会議所:0969-23-2001
玉名商工会議所:0968-72-3106/山鹿商工会議所:0968-43-4111
牛深商工会議所:0969-73-3141
その他の支援機関
熊本県商工会連合会:096-325-5161
熊本県中小企業団体中央会:096-325-3255
熊本県よろず支援拠点:096-286-3355
中小機構 九州本部 企業支援課:092-482-5451
九州経済産業局 産業部中小企業課:092-263-0300

2. 災害復旧貸付(日本政策金融公庫・商工中金)

地震で被害を受けた中小企業・小規模事業者を対象に、運転資金または設備資金を融資する制度です。

項目 内容
融資限度額(国民生活事業) 3,000万円
※各融資制度に上乗せされる金額
融資限度額(中小企業事業) 1億5,000万円(別枠)
融資期間 10年以内(据置期間2年以内)
※中小企業事業の設備資金は15年以内(据置2年以内)
金利(国民生活事業) 2.60%
金利(中小企業事業) 2.65%

※金利はいずれも令和8年7月1日現在・貸付期間5年の場合の数値です。国民生活事業の融資期間は一般貸付を適用した場合のものです。最新の適用条件は必ず窓口でご確認ください。




3. セーフティネット保証4号(売上が減った事業者向け)

建物が壊れていなくても、地震の影響で売上が落ちた場合に使える制度です。信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で100%保証します。

項目 内容
保証割合 100%保証
保証限度額(別枠) 無担保 8,000万円
普通 2億円
対象資金 経営安定資金
保証人 原則として第三者保証人は不要

売上減少の要件

災害の発生に起因して、次の両方を満たすことが必要です。

  • 原則として最近1か月の売上高等が前年同月比20%以上減少していること
  • その後2か月を含む3か月間の売上高等が、前年同期比で20%以上減少する見込みであること
売上高等の減少については、市区町村長の認定が必要です。
お住まい・事業所のある市町村の窓口で認定を受けたうえで、金融機関または信用保証協会に申し込む流れになります。
地域の指定は近日中に官報で告示される予定です。
告示前でも、信用保証協会では事前相談を開始しています。要件の確認や必要書類の準備は先に進めておくとスムーズです。

4. 既往債務の返済条件の緩和

すでに借入がある場合も、経済産業省が日本政策金融公庫・商工組合中央金庫・信用保証協会に対し、次の対応を事業者の実情に応じて行うよう要請しています。

  • 返済猶予など既往債務の条件変更
  • 貸出手続きの迅速化
  • 担保徴求の弾力化

返済が難しいと感じた時点で、早めに借入先へ相談することが大切です。

5. 小規模企業共済の災害時貸付(原則即日)

小規模企業共済の契約者向けに、低利・原則即日で融資を受けられる制度が適用されます。すぐに資金が必要な場合の選択肢になります。

項目 内容
借入限度額 納付済掛金の合計額に、掛金納付月数に応じて7〜9割を乗じた額(50万円以上・5万円単位)と1,000万円のいずれか少ない額
借入利率 年0.9%(令和8年7月29日時点)
借入期間 借入金額500万円以下:36か月
505万円以上:60か月
担保・保証人 不要
借入窓口 商工組合中央金庫の本・支店(原則として即日貸付が可能)
取扱期間 災害発生の日から6か月以内

必要な書類

  • 被災したことを証明する資料(市町村が発行するり災証明書、商工会等の確認を受けた被災証明願など)
  • 中小企業基盤整備機構からの通知物(契約者の氏名・共済契約者番号がわかるもの)
  • 実印、印鑑証明書(3か月以内発行の原本)
  • 本人確認資料
  • 収入印紙
借入窓口を商工中金以外に登録している場合は注意が必要です。
商工中金へ借入窓口を変更する手続きが必要になるため、即日貸付はできません。該当しそうな場合は早めに手続きを始めてください。

問い合わせ先は中小企業基盤整備機構 共済相談室(050-5541-7171/平日9時〜17時)です。

り災証明書の取り方は熊本地震のり災証明書申請方法|必要書類と窓口で解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q. どの地域の事業者が対象?

A. 災害救助法が適用された熊本県内の10市10町1村です。熊本市、八代市、水俣市、山鹿市、菊池市、宇土市、上天草市、宇城市、天草市、合志市、美里町、大津町、菊陽町、西原村、御船町、嘉島町、益城町、甲佐町、氷川町、芦北町、津奈木町が該当します。

Q. いくら借りられる?

A. 日本政策金融公庫の災害復旧貸付は、国民生活事業が融資限度額3,000万円、中小企業事業が1億5,000万円(別枠)です。融資期間は10年以内(据置期間2年以内)とされています。

Q. 建物が壊れていなくても使える制度はある?

A. セーフティネット保証4号は、地震の影響で売上高等が減少している事業者が対象です。直接の損壊がなくても、売上減少の要件を満たせば利用できる可能性があります。

Q. セーフティネット保証4号の要件は?

A. 災害発生後、原則として最近1か月の売上高等が前年同月比20%以上減少し、かつその後2か月を含む3か月間も前年同期比20%以上減少する見込みであることです。売上高等の減少については市区町村長の認定が必要です。

Q. すぐにお金が必要な場合は?

A. 小規模企業共済の契約者であれば、災害時貸付が原則として即日で利用できます。借入窓口は商工組合中央金庫で、担保・保証人は不要です。ただし借入窓口を商工中金以外に登録している場合は変更手続きが必要で、即日貸付はできません。

Q. 返済中の借入がある場合はどうなる?

A. 経済産業省は日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会に対し、返済猶予などの条件変更や貸出手続きの迅速化、担保徴求の弾力化を事業者の実情に応じて対応するよう要請しています。まずは借入先へ相談してください。




まとめ

  • 対象は災害救助法が適用された熊本県の21市町村
  • 災害復旧貸付は最大1億5,000万円(中小企業事業・別枠)
  • セーフティネット保証4号は売上20%減で100%保証・別枠
  • 小規模企業共済の災害時貸付は年0.9%・原則即日・担保保証人不要
  • 既往債務も返済猶予などの相談が可能
  • 迷ったらまず特別相談窓口へ

個人向けの支援については生活再建支援金|全壊300万円の対象と申請方法もあわせてご確認ください。

※本記事は2026年7月29日に公表された経済産業省のニュースリリース「令和8年熊本地震に伴う災害に関して被災中小企業・小規模事業者支援措置を行います」および参考資料1〜4をもとに作成しています。融資条件・金利・保証要件は変更される場合があり、適用可否は個別の審査によります。最新かつ正確な情報は経済産業省の公式発表および各相談窓口でご確認ください。




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