人気声優・俳優の津田健次郎が、生成AIによって自身の声を無断で模倣した動画が大量公開されているとして、TikTok(ティックトック)の運営会社に動画の削除を求め東京地裁に提訴していたことが明らかになった。日本俳優連合(日俳連)も「勇気あるアクション」として公式に支持を表明。AI技術と声・パブリシティー権の問題が法廷で問われる、日本初ともいわれる注目の訴訟だ。
事件の概要
画像出典: オリコンニュース(@oricon_anime_)
津田健次郎は、氏名不詳の投稿者が2024年7月から2025年9月にかけて、生成AIで津田の声質を模したナレーションを付けた動画をTikTokに188本投稿したとして提訴した。問題の動画は都市伝説・オカルト・雑学をテーマとしており、投稿時点で21万人以上のフォロワーを獲得。動画の平均再生回数は147万回に達していたという。
さらに、その投稿者は月50万〜75万円の収益を上げていたとされており、有名声優の声質を無断で商業的に利用した実態が浮き彫りとなった。
事件の数字
- 動画本数: 188本(2024年7月〜2025年9月)
- フォロワー数: 21万人以上
- 平均再生回数: 147万回
- 投稿者の収益: 月50万〜75万円
訴訟の争点|パブリシティー権とAI声模倣
津田側はTikTokの運営会社に対し、パブリシティー権の侵害を主張している。パブリシティー権とは、著名人が自らの名前・顔・声などの財産的価値を独占的に利用できる権利のことで、第三者が無断でそれを商業利用することは違法とみなされる。
生成AI(Generative AI)とは、学習データを基に新たなコンテンツを自動生成する技術の総称。今回の事例では、投稿者が津田の声質をAIに学習させ、その音声を動画ナレーションとして商業利用したとされている。日本でAI音声模倣によるパブリシティー権侵害訴訟が起こされるのは初めてとみられており、裁判所の判断が今後のAI利用ルール形成に大きな影響を与えることが予想される。
TikTok側の反論
TikTok側(被告側)はこれに対し、問題のナレーションについて「普遍的な男性の声」であり、話し方も特徴的ではないため津田の声とは類似していないと主張している。また、投稿者本人は外部サイトで「友人の声をAIに学習させて作った」と説明しており、違法性はないと反論している。
原告・被告の主張の対立点
| 争点 | 原告(津田側) | 被告(TikTok側) |
|---|---|---|
| 声の類似性 | 津田の声質を模倣 | 普遍的な男性の声 |
| 音声の出所 | 津田の声をAIに学習 | 友人の声をAIに学習 |
| 権利侵害 | パブリシティー権侵害 | 違法性なし |
日俳連の声明と業界への影響
日本俳優連合(JAU・日俳連)は2026年5月25日、「日本俳優連合は津田健次郎さんの勇気あるアクションを支持します」との声明を発表した。声優・俳優業界を代表する団体がAI声模倣の訴訟を公式に支持したことは、業界全体が抱えるAIへの懸念を示している。
声優・俳優は自らの「声」を職業的な武器として磨き上げてきた。その声がAIに無断で学習・模倣され、商業利用される事態は、声優業界における深刻な脅威として受け止められている。一方でTikTok側は「声で閲覧者を集めていない」と主張しており、このギャップが訴訟の焦点となっている。
今後の見通し
訴訟は現在、非公開の争点整理手続きの段階にある。今夏にも第1回口頭弁論が開かれる見通しで、裁判所がパブリシティー権の観点からAI声模倣をどう判断するかが注目される。
この裁判の判決は、日本におけるAI生成コンテンツの法的扱いに関する重要な先例となる可能性があり、声優・俳優だけでなく音楽家・タレントなど「声や顔」で仕事をする多くの人々に影響を与えることが予想される。
Xでの反応
今回の提訴と日俳連の声明に対し、Xでは多くのコメントが寄せられた。
「良くも悪くも、ChatGPTをはじめとする今のAIには、人の人生を変えてしまうほどの力がある」(Xユーザー)
TikTok側の「普遍的な男性の声」という主張に対しては批判が集中しており、声優の声には独自の特徴があるとする意見が多数を占めた。
生成AI信者と呼ばれる層からは「違法にはならない」という意見も散見されるが、業界関係者やファンからは「声優の権利を守る重要な裁判」という声が圧倒的だった。
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まとめ
- 声優・津田健次郎が生成AIによる声模倣でTikTokを提訴(日本初の事例とされる)
- 問題の動画は188本、月50万〜75万円の収益を上げていたとされる
- 原告側はパブリシティー権の侵害を主張、TikTok側は「普遍的な男性の声」と反論
- 日俳連が「勇気あるアクション」として公式に支持表明
- 今夏にも第1回口頭弁論予定。判決はAIと著作権の先例となる可能性
※本記事の情報は2026年5月26日時点のものです。訴訟の進捗などは公式発表・報道でご確認ください。

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