【10月22日更新】電気・ガス料金支援は9月使用分で終了し、10月使用分(11月請求)は大手電力10社すべてで前月から値上がりしました(標準家庭で835〜1,578円増)。冬の補助は10月21日に共同通信が「政府が検討入り」と報じた段階で、金額・開始月は未決定です。
(2026年8月9日 公開/2026年10月22日 最終更新)
電気・ガス料金支援(値引き)は2026年7月使用分から9月使用分までの3か月間実施され、9月使用分をもって終了した。10月使用分からは値引きがない請求になり、11月に届く検針票で一斉に値上がりが表れる。本記事では、経済産業省・資源エネルギー庁の公式発表と大手電力・ガス会社の発表をもとに、11月請求の値上がり幅、世帯ごとの負担増の目安、冬の補助の検討状況、いまできる対策を整理する。
画像出典: 経済産業省資源エネルギー庁 電気・ガス料金支援特設サイト
【10月22日時点】11月請求はいくら上がった?大手10社・ガス4社
大手電力10社が9月29日までに発表した10月使用分(11月請求)の標準家庭の電気料金は、10社すべてで前月(9月使用分)より上がり、値上がり幅は835〜1,578円だった。最大の要因は、これまで請求額から引かれていた値引きが9月使用分で終わったことで、中東情勢を背景にした原油・LNG価格の上昇も重なっている。各社の標準家庭の月額は次のとおり(金額は各社発表ベースの報道値)。
沖縄電力
標準家庭の月額 10,752円(前月比 +1,578円)
北海道電力
標準家庭の月額 10,552円(前月比 初の1万円超)
東北電力
標準家庭の月額 9,690円(前月比 +1,486円)
中部電力
標準家庭の月額 9,647円(前月比 +1,492円)
東京電力
標準家庭の月額 9,561円
四国電力
標準家庭の月額 9,372円(前月比 +1,412円)
中国電力
標準家庭の月額 9,158円
関西電力
標準家庭の月額 8,251円
九州電力
標準家庭の月額 8,115円
北陸電力
標準家庭の月額 7,970円(前月比 +835円(最小))
前月比は報道で確認できた会社のみ記載している。契約プランや使用量によって実際の請求額は異なる。
都市ガス大手4社も全社が値上がり
東京ガス
標準家庭の月額 6,488円(前月比 +744円)
東邦ガス
標準家庭の月額 7,118円(前月比 +553円)
大阪ガス
標準家庭の月額 6,902円(前月比 +572円(新料金プランでの比較))
西部ガス
標準家庭の月額 6,932円(前月比 +435円)
自分の家庭の負担増は「使用量×値引き単価」で出せる
値引きがなくなった分だけ、同じ使用量でも請求額は増える。9月使用分の値引き単価(電気3.5円/kWh、都市ガス14.0円/m3)を使えば、自宅の負担増の目安を計算できる。
電気 月260kWh(一般家庭の目安)
260kWh × 3.5円 = 約910円/月
電気 月400kWh(使用量が多めの世帯)
400kWh × 3.5円 = 約1,400円/月
電気 月600kWh(オール電化世帯の目安)
600kWh × 3.5円 = 約2,100円/月
都市ガス 月30m3(一般家庭の目安)
30m3 × 14.0円 = 約420円/月
電気260kWhと都市ガス30m3を使う世帯なら、補助終了だけで月あわせて約1,330円、年間では約1万6,000円の負担増になる計算だ。実際の値上がり額には、ここに燃料費調整額の上昇分が加わる。
11月以降は託送料金の改定でさらに上がる見込み
11月1日からは送配電網の利用料である託送料金が改定され、大手電力9社が基本料金や電力量料金の単価を引き上げる(北陸電力は10月1日時点で未定)。電力比較サイトのセレクトラによると、託送料金の改定分はモデル家庭で月254〜590円。たとえば関西電力のモデル家庭(従量電灯A・260kWh)では、11月分の請求が10月分より1,318円増え、うち910円が補助の終了、408円が託送料金改定に伴う料金見直しによるものとされている。
冬の補助はどうなる?10月21日に「検討入り」と報道
共同通信は10月21日、複数の政府関係者の話として「政府は冬の電気・ガス料金を補助する方向で検討に入った」と報じた。報道によると、念頭にあるのは暖房需要が高まる2027年1〜3月使用分で、12月使用分からの前倒しも検討されている。財源は中東情勢に対応する予備費を想定し、補正予算の編成も視野に入れているという。
注意: 金額・単価・開始月はいずれも未決定で、政府の正式発表ではない。従来の仕組みでは値引きは使用月の翌月の検針分から反映されるため、仮に12月使用分から始まっても反映は1月請求分からになる。10月使用分(11月請求)と11月使用分(12月請求)は、補助なしで請求される前提で家計を組んでおくのが安全だ。最新の決定は資源エネルギー庁の特設サイトで確認できる。
電気・ガス料金支援とは?制度の全体像
電気・ガス料金支援は、電気代・都市ガス代の一部を国が事業者を通じて値引きする形で家計や中小企業の負担を直接軽減する制度。経済産業省は2026年6月12日、電気事業者・ガス事業者から申請のあった特例措置を認可・承認したと発表しており、これにより2026年7月・8月・9月使用分の3か月間、小売規制料金からの値引きが行われている。
値引きは電気・ガス料金の算定に使う使用量あたりの単価(燃料費調整単価や基準単位料金)から、下記の金額を差し引く形で実施される。全国一律の単価で、大手電力・ガス会社だけでなく新電力・新規ガス小売事業者を含む幅広い事業者が参加している。
2026年7月使用分(8月検針分)
電気(低圧)3.5円/kWh・電気(高圧)1.8円/kWh・都市ガス14.0円/m3
2026年8月使用分(9月検針分)
電気(低圧)4.5円/kWh・電気(高圧)2.3円/kWh・都市ガス18.0円/m3
2026年9月使用分(10月検針分)
電気(低圧)3.5円/kWh・電気(高圧)1.8円/kWh・都市ガス14.0円/m3
8月使用分だけ単価が引き上げられているのは、真夏で電気・ガスの使用量が増える時期に合わせて負担軽減効果を厚くする狙いとみられる。
画像出典: 経済産業省資源エネルギー庁 電気・ガス料金支援特設サイト
対象者・対象条件を詳しく解説
電気・ガス料金支援の対象になるかどうかは、契約している料金プランの種類によって決まる。ケース別に整理すると次の通り。
一般家庭(低圧契約)の場合
一般家庭や商店など、電力会社と低圧で契約している需要家はすべて対象。オール電化住宅の深夜電力プランなども低圧契約であれば対象に含まれる。新電力と契約している場合も、その新電力が支援に参加していれば同様に値引きが適用される。
中小企業・高圧契約の場合
工場や商業施設など高圧で契約している事業者も対象。ただし値引き単価は低圧よりも低く設定されており(7月・9月は1.8円/kWh、8月は2.3円/kWh)、電力使用量が大きい事業者ほど総額での軽減効果は大きくなる。
都市ガス利用者の場合
都市ガスは、年間契約量1,000万m3未満の家庭・企業が対象。一般家庭のガス使用量はこれを大きく下回るため、都市ガスを契約している家庭はほぼすべて対象になる。なおプロパンガス(LPガス)は今回の制度の対象に含まれていない点に注意したい。
いつ値引きされる?申請不要で自動適用の流れ
電気・ガス料金支援は、利用者側で申請書を提出したり口座を登録したりする手続きは一切ない。契約している電力会社・ガス会社が自動的に値引きを反映する仕組みで、流れは次のようになる。
STEP1 使用月
7月・8月・9月に電気・ガスを使用した分が値引きの対象になる。この時点では利用者が何かをする必要はない。
STEP2 検針・請求
使用月の翌月におおむね検針が行われ、その月の請求書やWeb明細に自動的に値引き額が反映される。たとえば7月使用分は8月検針分の請求から反映される。
STEP3 明細確認
契約している電力会社・ガス会社のマイページやWeb明細で「電気・ガス料金支援」「激変緩和対策」などの項目名で値引き額が明記されているか確認できる。
3か月分すべてが自動で連続して反映されるため、月ごとに何か手続きをし直す必要もない。値引きが明細に反映されていない場合は、契約している事業者が支援に参加しているかどうかを問い合わせるとよい。
【シミュレーション】使用量別・月ごとの負担軽減額はいくら
経済産業省が確定した単価をもとに、電気・都市ガスの使用量別に3か月間の負担軽減額を試算した。家庭の使用量の目安と照らし合わせて確認してほしい。
電気(低圧)の3か月合計軽減額
月200kWh使用の場合
7月700円+8月900円+9月700円=合計2,300円
月300kWh使用の場合
7月1,050円+8月1,350円+9月1,050円=合計3,450円
月400kWh使用の場合
7月1,400円+8月1,800円+9月1,400円=合計4,600円
都市ガスの3か月合計軽減額
月20m3使用の場合
7月280円+8月360円+9月280円=合計920円
月30m3使用の場合
7月420円+8月540円+9月420円=合計1,380円
電気300kWh・都市ガス30m3を使う世帯であれば、電気とガスを合わせた3か月間の軽減額は合計で約4,830円になる計算だ。補助金ポータルなど複数の情報サイトも「標準的な家庭で3か月合計約5,000円程度の負担軽減効果」と紹介しており、上記の試算とおおむね近い水準になっている。
画像出典: 経済産業省資源エネルギー庁 電気・ガス料金支援特設サイト
10月使用分以降はどうなる?政府の方針と過去の経緯
経済産業省が2026年6月12日に公表した認可・承認の内容は、対象が7月・8月・9月使用分の3か月間に限られていた。10月使用分以降は補助がなく、延長の正式発表も10月22日時点で出ていない。冬の補助については、10月21日に共同通信が政府の検討入りを報じている(詳細は上の「冬の補助はどうなる?」を参照)。
追い打ちになる11月の託送料金改定
支援終了と並んで見落とせないのが、送配電網の利用料である託送料金の改定だ。2026年11月1日から新しい託送料金が適用され、大手電力9社が基本料金や電力量料金の単価を引き上げる。反映の時期や額は会社ごとに異なるため、各社のお知らせと検針票で確認してほしい。
まとめると: 10月使用分(11月請求)は支援終了による値引きゼロ化が中心で、そこに託送料金の改定が重なっていく、という形で負担が増える。
過去も「終了」と「再開」を繰り返してきた制度
この電気・ガス料金支援(激変緩和対策)は、2023年1月から2024年5月までの実施、2024年8月から10月までの酷暑対策としての実施、2025年1月から3月・7月の実施、2026年1月から3月の実施と、これまでも期間を区切って実施・終了・再開を繰り返してきた制度。過去には一度終了した後、燃料価格の高止まりを受けて秋以降の経済対策の一環として追加で復活したこともある。今回も、10月21日に冬の補助を検討する方向と報じられており、過去と同様に再開される可能性が出てきた。
民間シンクタンクは物価上振れリスクを指摘
第一生命経済研究所の新家義貴氏は2026年6月5日付のレポートで、「秋以降は食品値上げの広がりや電気・ガス代の上昇が重なり、物価が上振れる可能性がある」「支援が切れるタイミングに燃料費上昇の波及による値上がりが重なれば、秋以降の電気・ガス代が大きく上昇する可能性がある」と分析している。同氏は、政府が秋以降の補助をどう運営するかによって結果は大きく変わるとしつつも、上昇分をすべて抑え込むことは難しく、物価上振れリスクは大きいとの見方を示した。
つまり、10月使用分から支援がそのまま終了した場合、単価の値引きが無くなるだけでなく、燃料価格自体の上昇と重なって電気代・ガス代の負担が今より重くなる可能性がある、というのがシンクタンクの分析だ。逆に、秋の経済対策で支援延長が決まれば、負担増はある程度抑えられることになる。
画像出典: 経済産業省資源エネルギー庁 電気・ガス料金支援特設サイト
画像出典: 経済産業省資源エネルギー庁 電気・ガス料金支援特設サイト
家計への影響と注意点・落とし穴
10月以降に備えて、いくつか注意しておきたいポイントをまとめた。
検針日によっては9月にも値引きが乗らない請求が出る
値引きは「使用分」を基準にしているため、検針日のタイミングによっては10月検針の請求書に9月使用分の値引きが反映されるケースと、すでに10月使用分に切り替わり値引きが反映されないケースが混在する。自分の検針日を確認し、いつまで値引きが乗るのかを事前に把握しておくとよい。
プロパンガス(LPガス)は対象外
今回の支援は都市ガスが対象で、プロパンガス(LPガス)を利用している世帯は対象に含まれていない。都市ガスとプロパンガスを混同して「値引きが反映されない」と慌てないよう注意したい。
10月以降の値上がりに備えた対策
支援が終了・縮小した場合に備え、契約プランの見直しや電力・ガス会社の乗り換え比較、家電の使用量の見直しなど、今のうちにできる節約対策を検討しておくのも一つの方法だ。政府の追加対策を待つだけでなく、自分でコントロールできる部分から準備しておくと、10月以降の負担増があった場合の影響を和らげやすい。
Xでの反応
電気・ガス代補助金や秋以降の物価動向については、X(旧Twitter)上でも家計への影響を懸念する声や、補助金の効果を評価する声が上がっている。
「問題は秋以降だ。食品値上げの加速に電気・ガス代の補助金停止・上昇が重なれば、物価の伸びが大きく高まる可能性があり、その場合は実質賃金が再度水面下に沈む恐れがある(第一生命)」
— Xユーザーの投稿より(2026年8月上旬)
「いまのコアCPIの低さ自体、電気・ガス代補助金による人為的な押し下げの結果にすぎません」
— Xユーザーの投稿より(2026年8月上旬)
「電気・ガス価格激変緩和対策や負担軽減策により、家計のエネルギーコストの押し上げが防がれてる」
— Xユーザーの投稿より(2026年8月上旬)
補助金がある間は物価上昇が抑えられているという実感がある一方で、終了後の反動を心配する声が目立つ。まさに本記事のテーマである「10月以降どうなるか」への関心の高さがうかがえる。
画像出典: 経済産業省資源エネルギー庁 電気・ガス料金支援特設サイト
よくある質問(FAQ)
電気・ガス料金の値引きはいつ請求書に反映されますか?
使用月の翌月以降、検針・請求のタイミングで自動的に反映される。7月使用分はおおむね8月検針分の請求から値引きが確認できる。
値引きを受けるための申請は必要ですか?
申請は不要。契約している電力会社・ガス会社が自動的に値引きを行うため、利用者側で書類の提出や口座登録などの手続きをする必要はない。
10月使用分以降も補助は続きますか?
続かない。7〜9月使用分の支援は9月使用分で終了し、10月使用分からは値引きがない。冬の補助は、10月21日に共同通信が「政府が検討入り」と報じたが、2027年1〜3月使用分を念頭に置いた検討段階で、金額・開始月は未決定だ(10月22日時点)。
対象になるのはどんな契約ですか?
電気は低圧・高圧いずれの契約も対象、都市ガスは年間契約量1,000万m3未満の家庭・企業が対象。プロパンガス(LPガス)は対象外。
実際にいくら安くなりますか?
電気(低圧)は7月・9月使用分が1kWhあたり3.5円、8月使用分が4.5円の値引き。都市ガスは7月・9月使用分が1m3あたり14.0円、8月使用分が18.0円の値引き。標準的な家庭(電気300kWh・都市ガス30m3程度)では3か月合計で約5,000円前後の負担軽減効果になるとされている。
オール電化住宅や新電力との契約も対象ですか?
オール電化住宅でも低圧契約であれば対象。新電力・新規ガス小売事業者と契約している場合も、その事業者が支援に参加していれば同様に値引きが適用される。
補助が終了したらどうなりますか?
10月使用分から値引きが無くなり、11月請求から大手電力10社すべてで電気料金が上がっている(標準家庭で前月比835〜1,578円増)。さらに11月1日からは託送料金の改定も加わる見通しだ。
まとめ
電気・ガス料金支援は2026年7〜9月使用分の3か月間実施され、9月使用分で終了した。10月使用分(11月請求)は大手電力10社すべてで標準家庭の電気料金が835〜1,578円上がり、都市ガス大手4社も435〜744円上がっている。11月1日の託送料金の改定でさらに上がる見通しだ。冬の補助は10月21日に政府の検討入りが報じられた段階で、金額・開始月は未決定。電気は月260kWhで約910円、都市ガスは月30m3で約420円の値引きがなくなった計算なので、補助が決まるまでは補助なしの請求を前提に、契約プランやアンペアの見直しを進めておきたい。
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参考・出典
- 経済産業省「2026年7月、8月及び9月使用分の電気・ガス料金支援の実施に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可・承認を行いました」(2026年6月12日)
- 資源エネルギー庁 電気・ガス料金支援 特設サイト
- 補助金ポータル「電気代・ガス代補助金2026」
- 第一生命経済研究所「実質賃金は改善続くも、秋以降に下振れリスク」(新家義貴氏、2026年6月5日)
- 8and「11月請求の電気代が大手10社そろって値上がり」(2026年10月10日)
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