米大リーグ(MLB)と選手会の労使協定が2026年12月1日に失効し、翌2日にオーナー側がロックアウトに入るという見方が強まっています。最大の争点は、MLBが約30年ぶりに提案したサラリーキャップ(年俸総額の上限)です。日本からは、ポスティングで移籍する選手の交渉期間が短くなるとも報じられました。この記事では、ロックアウトの仕組み、争点、日本人選手への影響を、報道をもとに整理します。
結論
- 現行の労使協定は12/1(米東部時間23:59)に失効。新協定がなければ、12/2にオーナー側がロックアウト(施設閉鎖・契約凍結)に入る見方が大勢
- ポスティング移籍は、ロックアウト前の12/1までに契約が必要との見解を伝えられたと中日スポーツが報道。共同通信も交渉期限が12/1に前倒しになる見通しと伝えている
- 争点はサラリーキャップ。オーナー側は上限約2億4,530万ドルを提案し、選手会は受け入れない立場。成立時期は見えていない
公開日: 2026年10月30日
画像出典: 画像: tinpanblog.com 作成
目次
- ロックアウトとは何か、いつ起きるのか
- なぜ揉めているのか(サラリーキャップ)
- 日本人選手のポスティングへの影響
- 2021年のときとの違い
- 試合や移籍は、どうなる見通しか
- 決まっていること・決まっていないこと
- 向いていない人・注意点
- よくある質問
- まとめ
ロックアウトとは何か、いつ起きるのか
ロックアウトは、労使協定(CBA)が切れたあと、オーナー側が選手を球団施設から締め出し、契約や移籍の手続きを止める措置です。選手が試合を拒否するストライキとは逆に、経営側が主導します。米メディアのMLB Trade Rumorsは、MLB機構と選手会の労使協定は12月1日の東部時間23:59に失効し、業界のほぼ全員が、2027年シーズン中にストライキという交渉材料を選手側に持たせないため、リーグが翌日にロックアウトに入ると予想していると伝えています。
東部標準時の23:59は、日本時間では12月2日の13:59ごろにあたります。日本から見ると、12月2日の午後に協定が切れる計算です(時差から計算した目安)。
Sportico(2026年10月29日)は、協議は進んでいるものの、解決はしばらく先になる見通しだと伝えています。
なぜ揉めているのか(サラリーキャップ)
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Sportico(2026年10月29日)によると、オーナー側は、MLBの歴史で初めて、サラリーキャップ(上限)と、下限を設ける制度を提案しています。上限は2億4,530万ドル、下限は1億7,120万ドルです。2026年の税対象の年俸総額で当てはめると、上限を超える9球団は合計約6億2,700万ドル減らし、下限を下回る12球団は合計約5億4,800万ドル増やす必要があったという試算が掲載されています。
現在のMLBは、年俸総額が基準を超えた球団に追加の課税をする「贅沢税」の制度で、上限は設けられていません。オーナー側は、球団間の年俸格差が競争のバランスを崩していると主張しています。収入の分け方については、野球関連収入を50対50で分ける案も出しています。既存の契約は保証されたまま残るとされ、上限は段階的に導入する案だと伝えられています。
選手会は、サラリーキャップは賃金を抑える仕組みだとして受け入れない立場です。Sportico(2026年10月29日)によれば、下限(年俸総額1億5,000万ドル未満の球団への罰則)や、2027年に贅沢税の基準を3億ドルに引き上げる案、最低年俸の引き上げ(2027年に150万ドル)、FA権を得るまでの期間の短縮などを求めています。
日本人選手のポスティングへの影響
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いまのポスティングの制度では、NPB球団が選手の移籍を認めてMLB機構に申請し、MLBが全30球団に公示した翌日から、45日間、契約交渉ができます。申請できるのは毎年11月1日から12月15日までです。
中日スポーツ(2026年10月29日)は、米球界関係者の話として、MLB機構が、ロックアウト中はポスティングの交渉期間の進行を一時停止してほしいという選手会の提案を拒否したと報じました。ロックアウトに入ると、選手と球団の契約交渉は凍結される見通しで、ポスティングされた選手は12月1日までに契約を結ぶ必要がある、という見解を伝えられたといいます。共同通信(2026年10月30日)も、交渉期限が12月1日に前倒しになる見通しだと伝えています。
試算: 交渉に使える日数
通常は45日ある交渉期間が、どれだけ短くなるかを、日付から計算してみます。たとえば、11月3日から交渉が始まる場合、12月1日までは約4週間(通常の約6割)です。11月10日開始なら約3週間、11月17日開始なら約2週間になります。申請日や公示日によって実際の日数は変わるため、あくまで目安です。
名前が出ている選手
中日スポーツは、ポスティングでの移籍が予想される選手として、阪神の佐藤輝明内野手、日本ハムの伊藤大海投手、西武の平良海馬投手の名前を挙げています。このうち、平良は、2026年10月30日に西武の広池浩司球団本部長がポスティングの容認を明らかにしました(スポーツ報知)。佐藤は、球界関係者の話として、11月1日の申請に向けて準備を進め、11月中の契約を目指していると中日スポーツが伝えています。
伊藤大海については、現時点で、申請や球団の容認を伝える記事は確認できていません。移籍が実現するかどうかは、本人と球団の発表を待つ必要があります。
2021年のときとの違い
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前回の労使協定が切れた2021年は、広島の鈴木誠也外野手が11月22日にポスティングされ、12月2日にロックアウトに入りました。当時は、MLB機構が選手会の提案を受け入れ、ロックアウト中はポスティングの交渉期間の進行を一時停止する措置を設けました。鈴木はロックアウトまでに契約できませんでしたが、2022年3月10日に新協定が結ばれると交渉が再開し、3月18日にカブスとの5年契約が発表されました。
今回は、選手会が同様の提案をしたものの、MLB機構が拒否したと報じられています。そのため、ロックアウトまでに契約できなければ、今オフのメジャー移籍が実現しない恐れがある、と中日スポーツは伝えています。
試合や移籍は、どうなる見通しか
2021年のロックアウトでは、MLB球団と選手の取引が止まり、ウインターミーティングは中止されました。年俸調停の期限や公聴会は2022年3月以降に移り、春季キャンプと開幕も遅れましたが、162試合の日程は実施されました。Sportico(2026年10月29日)は、2022年のロックアウトは日程への影響が小さく、開幕が1週間遅れた程度だったと説明しています。一方、1994年のストライキでは948試合が中止され、ワールドシリーズも行われませんでした。
今回は、サラリーキャップという根本的な争点があるため、2022年のように短期間で決着するかどうかは分かりません。Sportico(2026年10月29日)は、ウォリアーズのジョー・ラコブ オーナーが5月に「来年はシーズンがおそらくない」という前提でパドレスの買収を進めていると語ったと紹介していますが、実際にそうなるかは分からないとしています。
過去のロックアウトでは、期限前に大型契約が相次ぎました。2021年も、期限前の数週間にFAの大型契約や延長契約、トレードが集中しています。今回も、12月1日までに契約や移籍が前倒しで動く可能性があります。
決まっていること・決まっていないこと
画像出典: 作成: tinpanblog.com(報道・各社の発表をもとに作成)
日本人選手の移籍について、くわしくは、プロ野球FA2026の記事や、小島和哉のFAの記事も参考になります。MLB全体の動きは、大谷翔平の来季の見通しの記事でも触れています。
向いていない人・注意点
- この記事は、2026年10月30日時点の報道の整理です。ロックアウトの突入や、ポスティングの期限は、今後の交渉で変わる可能性があります
- 「12月1日までに契約が必要」という点は、米球界関係者の話や球界関係者の話にもとづく報道で、MLB機構や選手会の公式発表を確認できたものではありません
- 個別の選手がメジャー移籍するかどうかは、本人と球団の発表を待つ必要があります。この記事では、移籍の成否や契約額は予想しません
- 試算の日数は、申請日や公示日を仮定した目安です。実際の日程と一致するとは限りません
- 2027年シーズンが予定どおり開幕するかは、現時点で分かりません
よくある質問
ロックアウトとストライキは何が違いますか?
ロックアウトは、経営側(オーナー側)が選手を締め出して契約や移籍を止める措置です。ストライキは、選手側が試合への出場を拒否する行動です。
ロックアウトになると、日本人選手のメジャー移籍はできませんか?
ロックアウト中は、MLB球団との契約交渉が凍結される見通しです。ロックアウトに入る前に契約が決まった場合は、移籍できます。新協定が成立して、ロックアウトが解除されたあとの交渉については、今回はMLB機構が交渉期間の一時停止を拒否したと報じられています。
ロックアウトはいつまで続きますか?
分かりません。前回の2021年からのロックアウトは、2022年3月10日の新協定の成立まで続きました。今回は、サラリーキャップをめぐる対立が深いため、見通しは立っていません。
まとめ
MLBの労使協定は12月1日に失効し、12月2日にオーナー側がロックアウトに入る見方が強まっています。争点はサラリーキャップで、オーナー側が上限約2億4,530万ドルを提案し、選手会は受け入れない立場です。ポスティング移籍は、ロックアウト前の12月1日までに契約が必要との見解が示されたと報じられ、交渉に使える期間が通常の45日より短くなる可能性があります。申請や球団の発表、MLB機構と選手会の続報を確認してください。
記事の内容は2026年10月30日時点の報道にもとづきます。日程や条件は変更される可能性があるため、MLB機構・選手会・各球団の公式発表で最新の情報を確認してください。
参考・出典
- 佐藤輝明らに激震、ポスティング交渉期間が事実上の短縮か(中日スポーツ、2026年10月29日)
- ポスティング移籍の交渉期限前倒しか(共同通信・Yahoo!ニュース、2026年10月30日)
- 西武 平良海馬のMLB挑戦が正式決定(スポーツ報知・Yahoo!ニュース、2026年10月30日)
- An MLB Lockout Is Coming. The Sport’s Future Is on the Table(Sportico、2026年10月29日)
- The 2026-27 Offseason Begins(MLB Trade Rumors、2026年10月29日)
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