2026年8月28日 公開 / 最終更新: 2026年9月19日
2026年度の最低賃金改定は「10月になったら全国一斉に上がる」わけではありません。改定額が実際に適用される発効日は都道府県ごとにバラバラで、最も早い都道府県では10月1日から、最も遅い沖縄県では12月2日からと、最大で2ヶ月強の差があります。この記事では、2026年9月3日に沖縄県の答申が出て47都道府県すべての発効日が確定した最新情報をもとに、東京都1,280円をはじめとする新時給額の一覧をまとめます。
【9月5日追記】9月3日に沖縄県の審議会が答申(1,023円→1,086円・+63円)を出し、47都道府県すべての改定額と発効日が確定しました。全国加重平均は1,177円(前年比+56円)に確定し、全国で最も遅い発効日は沖縄県の12月2日です。
【9月6日追記】最低賃金の引き上げと同じ2026年10月1日、パート・アルバイトの社会保険加入をめぐる「106万円の壁」(賃金要件)も撤廃されます。厚生労働省は「最低賃金の上昇により週20時間以上働く人は自動的に加入要件を満たすため、賃金要件を意識する必要がなくなる」と説明しており、今回の最低賃金改定と直接関係する制度変更です。詳しくは本記事内の新設セクションをご覧ください。
【9月19日追記】2026年9月11日の官報で施行日を定める政令が公布され、106万円の壁(賃金要件)撤廃は2026年10月1日施行で正式に確定しました。あわせて、新たに社会保険加入対象となる短時間労働者向けの「保険料調整制度」(3年間の保険料負担軽減措置)の仕組みと、標準報酬月額別の手取りシミュレーションを新設セクションに追記しました。

最も早い発効日は10月1日(15都道府県)、最も遅いのは沖縄県の12月2日
都道府県別 答申状況(2026年9月3日確定・全47都道府県が出そろう)
2026年9月3日、最後まで答申待ちだった沖縄県の審議会が答申を出し、全国47都道府県すべての改定額と発効日が出そろいました。厚生労働省の発表によると、全国の加重平均額は1,177円で、現行の1,121円から56円の引き上げとなり、目安制度が始まった昭和53年度以来2番目に大きな上げ幅です。

答申待ちは沖縄県のみで、公示が出次第、発効日が確定する
なぜ発効日は都道府県ごとに違うのか
最低賃金の改定は、各都道府県に設置された地方最低賃金審議会が地域の実情をふまえて答申を出し、その後に労働局が公示する手続きを経て発効します。答申が出るタイミングや、公示前に必要な意見公募(パブリックコメント)の期間が都道府県ごとに異なるため、結果として発効日にもばらつきが生まれます。「10月から全国一斉に変わる」という誤解が広がりやすいポイントなので、自分の勤務先がある都道府県の発効日を個別に確認しておくことが重要です。
10月1日発効(最多グループ・15都道府県)
最も多くの都道府県が発効日として設定しているのが10月1日です。以下の15都道府県が該当します。

10月1日発効:北海道・宮城・栃木・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・富山・岐阜・愛知・三重・大阪・兵庫・香川
10月中旬〜下旬に発効する道府県
10月2日以降、下旬にかけて段階的に発効する道府県は次の通りです。

10月2日の長野・岡山から10月30日の山形まで、14の発効日グループに分かれている
発効日一覧(10月2日〜10月30日)
- 10月2日:長野・岡山
- 10月3日:群馬・石川・滋賀・鳥取・和歌山
- 10月4日:福井・奈良・福岡
- 10月8日:山口
- 10月10日:島根
- 10月11日:広島
- 10月14日:秋田
- 10月15日:静岡
- 10月16日:福島
- 10月18日:茨城
- 10月24日:宮崎
- 10月25日:鹿児島
- 10月29日:青森(1,029円→1,090円・+61円)・高知(1,023円→1,086円・+63円)
- 10月30日:山形(1,032円→1,092円・+60円)
11月発効は7県|新たに4県が判明
11月に発効するのは徳島県・愛媛県・山梨県・長崎県・大分県・佐賀県・京都府の7県です。8月27日時点では徳島・愛媛・京都の3県のみでしたが、答申が出そろったことで山梨・長崎・大分・佐賀の4県が新たに11月発効グループに加わりました。

11月1日発効は徳島・愛媛・山梨・大分の4県、11月2日は長崎、11月15日は佐賀、11月16日は京都
12月発効は岩手県・熊本県・沖縄県の3県|沖縄県の12月2日が全国最後
岩手県・熊本県は12月1日発効で確定していましたが、2026年9月3日に沖縄県の答申が出たことで、全国で最も遅い発効日は沖縄県の12月2日に更新されました。沖縄県は今回63円という全国で2番目に大きい引き上げ幅で答申され、他県との水準差を縮めています。
主要都道府県の新しい時給はいくら?
2026年9月1日までに、東京都・愛知県を含む16都道府県で改定額が公示され、10月1日発効の新しい最低賃金額が確定しました。主要な都府県の改定額は次のとおりです。
全国加重平均は前年の1,121円から1,177円へ、56円(引き上げ率5.0%)の上昇が確定しました。ここに挙げた6都府県以外の地域も、本記事の一覧表で発効日と金額をご確認ください。
時給が上がると月収はいくら増える?
引き上げ額(+54円または+55円)がそのまま月収にどう反映されるか、働き方別に試算してみます。実際の増加額は勤務日数・時間によって変わるため、あくまで目安としてご覧ください。
+54円の地域:約8,640円/月増
+55円の地域:約8,800円/月増
+54円の地域:約4,700円/月増
+55円の地域:約4,785円/月増
例えば東京都でフルタイム勤務の場合、月160時間換算で約8,640円の月収アップになります。年間では10万円を超える増加額になるため、勤務先の給与明細で発効日以降の時給がきちんと反映されているか確認しておくと安心です。
発効日の基準は「働いた日」|給与計算の注意点
発効日をまたぐ給与計算で間違えやすいのが、基準になるのは「支払日」ではなく「働いた日」だという点です。発効日より前に働いた分は現行の最低賃金、発効日以降に働いた分は新しい最低賃金が適用されます。給与の締め日・支払日が発効日の前後にまたがる場合は、勤務日ごとに時給を分けて計算する必要があります。

発効日以降に働いた分から新しい最低賃金が適用される
パート・アルバイトの「年収の壁」にどう影響する?
最低賃金の引き上げは、扶養の範囲内で働くパート・アルバイトの「年収の壁」にも直接関わってきます。特に社会保険の「106万円の壁」は、最低賃金の改定と同じ2026年10月1日に大きく変わります。
106万円の壁(賃金要件)は2026年10月1日に撤廃
短時間労働者が勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する要件のうち、「月額賃金8.8万円以上(年収換算で106万円相当)」という賃金要件が2026年10月1日に撤廃されます。撤廃されるのはこの賃金要件だけで、以下の他の要件は残ります。
厚生労働省はこの撤廃の理由について、「最低賃金の上昇により、週20時間以上働く人は自動的に社会保険の加入要件を満たすため、賃金要件を意識する必要がなくなる」と説明しています。実際、今回確定した全国加重平均1,177円で試算すると、週20時間・年52週勤務した場合の年収は約122万円となり、現行の106万円ラインを賃金要件を待たずに超える水準です。つまり「106万円という金額を意識する」段階から「週20時間働くかどうか」を意識する段階に基準が移る、というのが今回の変更の実質的な内容です。
103万円の壁・130万円の壁はどうなる?
106万円の壁とあわせて混同されやすい他の壁は、2026年10月時点でも別々に存在しています。
つまり2026年10月に変わるのは106万円の壁(社会保険加入の賃金要件)だけで、103万円の壁(所得税、実質160万円化)・130万円の壁(扶養)は撤廃されるわけではない点に注意が必要です。「年収の壁がすべてなくなった」という誤解をしないようにしましょう。
週20時間の壁へ|保険料調整制度で手取りはどう変わる?
106万円の壁が撤廃されても、新たに社会保険(厚生年金・健康保険)に加入すれば、その分だけ毎月の手取りは一時的に減ります。この負担を和らげるために2026年10月1日から始まるのが「保険料調整制度」です。結論から言うと、標準報酬月額が低い人ほど本人負担割合が大きく引き下げられ、3年間の時限措置で段階的に負担が通常水準へ戻っていく仕組みです。
保険料調整制度とは|対象と適用期間
厚生労働省の資料によると、保険料調整制度は被用者保険の適用拡大で新たに社会保険加入の対象となった短時間労働者のうち、標準報酬月額が一定額以下の人を対象に、本来は労使折半(50%ずつ)である保険料の本人負担割合を国が定める割合まで時限的に引き下げる措置です。事業主が労使折半を超えて立て替えた保険料相当額は、制度を通じて後から支援されるため、事業主の実質負担は増えません。適用期間は3年間で、3年目は軽減幅が半減し、本人負担割合が段階的に通常の50%へ近づいていきます。この軽減措置によって将来受け取る年金額が減ることはありません。
標準報酬月額別 本人負担割合の早見表
軽減後の本人負担割合(1・2年目)は、標準報酬月額(年収換算)が低いほど大きく引き下げられます。厚生労働省の資料に基づく早見表は次のとおりです。
| 標準報酬月額(年収換算) | 本人負担割合(1・2年目) |
|---|---|
| 8.8万円(約106万円) | 50%→25% |
| 9.8万円(約118万円) | 50%→30% |
| 10.4万円(約125万円) | 50%→36% |
| 11万円(約132万円) | 50%→41% |
| 11.8万円(約142万円) | 50%→45% |
| 12.6万円(約151万円) | 50%→48% |
| 13.4万円(約161万円)以上 | 軽減対象外(通常の50%) |
3年目は表の軽減幅が半減する見込みです(例: 標準報酬月額9.8万円の場合、1・2年目は30%、3年目は40%が目安)。
手取りシミュレーション|標準報酬月額9.8万円と12.6万円の場合
実際にどれくらい手取りが変わるのか、厚生労働省が資料の試算で用いているのと同じ考え方で、厚生年金保険料率18.3%+健康保険料率(協会けんぽ全国平均目安)10.0%=合計28.3%(労使折半)を使って概算します。実際の保険料率は加入する健康保険組合や年度によって変わるため、あくまで目安の試算です。
標準報酬月額9.8万円(年収約118万円)の場合
年間保険料総額の目安は約33.3万円。通常の折半(本人50%)なら本人負担は年約16.6万円(月約1.4万円)ですが、1・2年目は本人負担割合が30%に軽減されるため年約10.0万円(月約8,300円)にとどまります。月あたり約5,500円、年間で約6.6万円ほど本人負担が軽くなる計算です。3年目は負担割合が40%目安に戻るため、本人負担は年約13.3万円(月約1.1万円)に増えます。
標準報酬月額12.6万円(年収約151万円)の場合
年間保険料総額の目安は約42.8万円。通常の折半なら本人負担は年約21.4万円(月約1.8万円)ですが、1・2年目は本人負担割合が48%とほぼ通常水準に近いため、軽減額は年約8,600円(月約720円)程度にとどまります。3年目はさらに軽減幅が縮み、実質的に通常の負担とほぼ変わらなくなります。
このように、収入が低い人ほど軽減の恩恵は大きく、標準報酬月額12.6万円に近づくほど軽減効果は小さくなります。「新たに社会保険料を払うことになるから手取りが大きく減る」と心配しすぎず、まずは自分の月収が早見表のどの区分に当たるか確認してみるとよいでしょう。ただし軽減はあくまで3年間の時限措置であり、4年目以降は通常の50%負担に戻る点には注意が必要です。勤務先によっては、法律上の要件が変わっても社内規定(例: 「2か月連続で月8.8万円を超えたら加入」等)がそのまま残っているケースもあるため、実際にいつから加入対象になるかは勤務先の人事・総務にも確認しておくと安心です。
Xでの反応
106万円の壁撤廃が2026年9月11日の政令公布で正式確定したことを受け、X上でも反応が広がっています。
「社会保険の106万円の壁 10月1日で正式撤廃決定」
— Xユーザーの投稿より(2026-09-19)
「『103万の壁が178万円になったから、もっと働いても平気』——それ、税金の話だけです。2026年10月、社会保険の106万円の壁が撤廃され、代わりに『週20時間』が基準になります。年収だけで働き方を決めるのは危険です」
— Xユーザーの投稿より(2026-09-19)
「嫁の職場が社内規定で『2か月連続で月8.8万円超えたら社会保険加入』ってのが変わらなかったら無意味なのよね…時給がどんどん上がってるから就業時間が減るジレンマ」
— Xユーザーの投稿より(2026-09-17)
制度の仕組みを歓迎する声がある一方、勤務先の社内規定が法改正に追いついていないケースへの懸念や、就業時間の調整というジレンマを指摘する声も見られました。
よくある質問(FAQ)
Q. 最低賃金の改定は全国一斉に始まりますか?
A. いいえ。2026年度の改定は都道府県ごとに発効日が異なります。最も早い10月1日(15都道府県)から、最も遅い沖縄県の12月2日まで、最大で2ヶ月強の差があります。
Q. 自分の都道府県の発効日はどこで確認できますか?
A. 各都道府県労働局が公表する官報公示や報道発表資料で確認できます。本記事の一覧もあわせてご参照ください。答申待ちの県は、答申・公示が出次第、発効日が確定します。
Q. 発効日はどのタイミングの給与から適用されますか?
A. 支払日ではなく「働いた日」が基準です。発効日以降に働いた分の賃金から新しい最低賃金額が適用されます。
Q. まだ答申が出ていない都道府県はありますか?
A. 2026年9月3日に沖縄県の答申が出て、全国47都道府県すべての改定額と発効日が確定しました。
Q. 東京都や大阪府の新しい最低賃金はいくらですか?
A. 東京都は1,280円(+54円)、大阪府は1,231円(+54円)、神奈川県は1,279円(+54円)、埼玉県・千葉県・愛知県はいずれも+55円で1,196円・1,195円・1,195円に確定しました。全国加重平均は1,177円(+56円、引き上げ率5.0%)です。
Q. 106万円の壁はどうなりますか?
A. 社会保険加入の要件のうち「月額賃金8.8万円以上(年収106万円相当)」という賃金要件が、最低賃金改定と同じ2026年10月1日に撤廃されます。週20時間以上勤務などの他の要件は残ります。
Q. 103万円の壁や130万円の壁も撤廃されますか?
A. いいえ。2026年10月に変わるのは106万円の壁(社会保険加入の賃金要件)だけです。103万円の壁(所得税)は税制改正で実質160万円まで引き上げられており、130万円の壁(扶養)は存続しています。
Q. 106万円の壁撤廃はいつ正式に決まりましたか?
2026年9月11日の官報で、施行日を2026年10月1日とする政令が公布され、正式に確定しました。
Q. 保険料調整制度とはどんな制度ですか?
新たに社会保険に加入する短時間労働者のうち、標準報酬月額12.6万円以下の人を対象に、本来50%の本人負担割合を国が定める割合(標準報酬月額に応じて25%〜48%)まで3年間引き下げる時限措置です。3年目は軽減幅が半減します。事業主の実質負担は増えず、将来の年金額にも影響しません。
まとめ
2026年度の最低賃金改定は「10月から全国一斉」ではなく、都道府県ごとに発効日が異なります。最も早いグループは10月1日発効の15都道府県、最も遅いのは沖縄県の12月2日です。東京都は1,280円、大阪府は1,231円など、都道府県ごとの新時給額もあわせて確認しておきましょう。発効日は支払日ではなく働いた日が基準になるため、パート・アルバイトで働く方も雇用主の方も、自分の都道府県の発効日を早めに確認しておきましょう。
※本記事の情報は2026年9月3日に47都道府県すべての答申が出そろった時点の内容に基づいています。最新の発効日・改定額は各都道府県労働局の公式発表でご確認ください。
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参考・出典
- taxlabor.com 都道府県別最低賃金一覧
- 厚生労働省 令和8年度地域別最低賃金改定状況
- 各都道府県労働局 報道発表資料・官報公示
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