国税庁やe-Tax(国税電子申告・納税システム)をかたる不審メールについて、電話相談が9月下旬から急増し、1日10件程度だった相談が2000件を超えた日もあったと、読売新聞が10月30日に報じました。メールは「申告漏れの可能性がある」「還付金がある」といった文面で偽サイトへ誘導したり、偽アプリをダウンロードさせたりする例が多いとされています。本物との違いと、届いた後・開いた後の対処をまとめます。
結論
- 国税庁は、還付金額を表示したメールや、受け取りのためにアプリのダウンロードを求めるメールは送っていない
- 本物のe-Taxのメールは、送信元が「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」で、原則として本文にURLを書かない
- 届いたら開封せず削除。リンクをクリックしたり、アプリを入れたりしてしまった場合は、段階ごとの対処が必要
公開日: 2026年10月31日(国税庁公式ページの10月16日更新版と、10月30日の報道にもとづく)
画像出典: 作成: tinpanblog.com(国税庁の公式ページをもとに作成)
目次
- 何が起きているか
- 本物のe-Taxメールの見分け方
- 国税庁公式ページに載る偽メール5件
- 開いてしまった時の段階別の対処
- 年末調整・確定申告の時期に注意したい理由
- この見分け方の限界と注意点
- まとめ
何が起きているか
読売新聞の報道(10月30日配信)によると、国税庁やイータックスをかたる不審なメールに関する電話相談が、9月下旬から同庁や全国の国税局で急増しています。通常は1日10件程度の相談が、2000件を超えた日もありました。
国税庁によると、メールは送信者名を同庁やイータックスと偽り、「申告漏れの可能性がある」「還付金がある」などの文面で偽サイトへ誘導したり、偽アプリをダウンロードさせたりするケースが多いといいます。同庁は、公式ホームページに掲載している不審メールの例を確認してほしいと呼びかけています。
国税庁のe-Taxのお知らせページは、最近の事例の追加を10月16日に更新しています。事例は件名や文面を変えながら増えており、1つの件名を覚えるだけでは見分けられません。
本物のe-Taxメールの見分け方
e-Taxは、メールアドレスを登録している利用者に「税務署からのお知らせ」などの件名でメールを送ります。国税庁の説明にもとづく、本物の特徴は次のとおりです。
国税庁公式ページに載る偽メール5件
画像出典: 作成: tinpanblog.com(国税庁の公式ページをもとに作成)
国税庁のページに載る最近の事例は5件です。それぞれ、国税庁が注意点として挙げている内容を整理します。
事例1: 還付金の受取手続きを装い、アプリのインストールを求める
件名は「【重要】還付金の受取手続きのご案内」です。国税庁は、還付金額を表示したメールを送ったり、受取のためにアプリのダウンロードを求めたりすることはないとしています。「アプリをインストール」をクリックすると、フィッシングサイトへ誘導されて個人情報を詐取されるため、クリックしないよう求めています。
画像出典: 出典: 国税庁 e-Taxホームページ掲載の偽メール例
事例2・3: 「税務署からのお知らせ」の件名を使う
事例2は「宛名の登録確認及び秘密の質問等の登録に関するお知らせ」、事例3は「e-Tax個人アカウントの登録確認に関する重要なお知らせ」です。件名はe-Taxの本物と一致しますが、文面は違います。リンク先は国税庁のe-Taxホームページを表示しているように見えても、クリックすると「e-Taxの利用開始届出書」を模したフィッシングサイトへ誘導され、個人情報とクレジットカード情報を詐取されます。
事例3は、メール下部に「国税庁 特許情報局」と書かれていますが、国税庁にそのような部局はありません。
事例4: 未納税金を知らせる
件名は「【重要】未納税金のお知らせ – e-Tax」です。国税庁は、イータ君などのイラストやロゴ画像を添付したメールは送っていないと説明しています。
画像出典: 出典: 国税庁 e-Taxホームページ掲載の偽メール例
事例5: 不動産取得資金の調査を装う
件名は「不動産取得資金に関する調査および回答提出の要請」です。国税庁は、このメールを送ることはないとしています。調査や回答提出を装い、返信やリンク先での入力を誘う形です。
画像出典: 出典: 国税庁 e-Taxホームページ掲載の偽メール例
開いてしまった時の段階別の対処
画像出典: 作成: tinpanblog.com(国税庁・各社の注意喚起をもとに作成)
国税庁は、不審なメールは開封せずに削除するなど取り扱いに注意するよう求めています。そのうえで、すでに操作してしまった場合は、どこまで進んだかで取るべき行動が変わります。以下は、金融機関や通信各社が一般に案内している対処をもとにした整理です。
メールが届いただけ
開封せず削除します。差出人への返信や、記載の電話番号への連絡はしません。迷惑メールとして報告できる環境なら、報告しておくと以後の受信を減らせます。
リンクをクリックしたが、何も入力していない
開いたページは入力せずに閉じます。念のため、端末のセキュリティソフトでウイルス検査をします。ページを開いただけで被害が確定するわけではありませんが、不審なアプリの導入を促す画面が出ていたら、次の項目に進みます。
ID・パスワードを入力した
入力したものと同じ組み合わせを使っているサービスのパスワードを、すべて変更します。e-Taxの利用者識別番号や暗証番号を入力した場合は、国税庁のe-Taxの案内に従って変更の手続きをします。
クレジットカード情報を入力した
カード会社の窓口へすぐ連絡し、利用停止と再発行を相談します。利用明細に身に覚えのない請求がないか、数か月分を確認します。
アプリをインストールした
まず、アプリを削除し、Wi-Fiとモバイル通信を切ります。偽アプリは端末内の情報を盗んだり、遠隔操作されたりするおそれがあるため、端末の初期化を前提に、契約している通信会社や警察のサイバー犯罪相談窓口、金融機関に連絡して相談します。ネットバンキングやカードのアプリを入れていた場合は、各社の窓口で利用の一時停止を依頼します。
消費者ホットライン(188)でも、お住まいの地域の消費生活センターを案内してもらえます。
年末調整・確定申告の時期に注意したい理由
10月から11月は、会社員なら年末調整の書類を出す時期です。その後、年が明けると確定申告の時期に入ります。税金や還付に関する連絡が届いても不自然に見えにくい時期で、「還付金がある」「申告漏れの可能性がある」という文面は、この時期の関心に合わせたものと考えられます。
ただし、年末調整は勤務先を通じて行う手続きで、国税庁がメールで個人に還付金額を知らせることはありません。年末調整の流れは、年末調整2026の書き方の記事でも整理しています。
個人情報の漏えいが相次ぐ今年は、漏れた氏名やメールアドレスを使った偽メールも届きやすくなっています。今年の漏えい事案の全体像は、情報漏えい2026の事案一覧にまとめています。
この見分け方の限界と注意点
- 国税庁の例は「最近の事例」であり、すべてではない。手口は日々変わるため、公式の例と一致しないから安全、とは言えない
- 偽メールは本物と同じ件名を使う(事例2・3)。件名だけで判断せず、送信元の表記と本文を見る
- 送信元の表示名やアドレスは偽装できるため、表記が合っていても本文にURLや金額があれば本物とみなさない
- 不安な時は、メール内のリンクではなく、ブックマークや検索から国税庁・e-Taxの公式サイトを開いて確認する
- 本文中の電話番号にかけない。連絡先は公式サイトで調べたものを使う
正直なところ、メールだけで100%見抜くのは難しいため、「メールのリンクから手続きをしない」と決めておくのが最も確実です。
まとめ
国税庁やe-Taxをかたるメールは、9月下旬から相談が急増し、1日2000件を超えた日もありました。本物のe-Taxメールは、送信元が「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」で、原則として本文にURLを書かず、還付金額や催促は書きません。届いたら開封せず削除し、リンクを押したり入力したり、アプリを入れたりした場合は、段階に応じてパスワード変更・カード会社への連絡・端末の相談を進めてください。
本記事は2026年10月31日時点の公式情報と報道にもとづきます。最新の事例や対処は、国税庁の公式ページで確認してください。
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参考・出典
- 国税庁 e-Taxホームページ「e-Taxを装った不審なメール等にご注意ください」
- 国税庁「国税庁をかたる不審なメールについて」(お知らせ)
- 読売新聞オンライン「『イータックス』などかたる不審メールの相談急増」(2026年10月30日・Yahoo!ニュース配信)
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