NHKは2026年10月28日、「NHK経営計画(2027-2029年度)(案)」に対する意見募集を始めました。計画案では、2027年度から2029年度の3年間、受信料額を現行のまま維持するとしています。地上契約は月額1,100円、衛星契約は月額1,950円で、値上げも値下げもありません。この記事では、計画案の数字と、前払いにしたときの差額、意見の出し方を整理します。(2026年10月28日 公開)
画像出典: NHK経営計画(2027-2029年度)(案)をもとに作成
2. 3か年収支計画の数字
3. 450億円・300億円の「支出見直し」の意味
4. 前払いにするといくら違うか
5. 衛星放送の再編検討と未納対策
6. 意見募集の出し方と注意点
7. まとめ
受信料額は現行のまま、契約別の一覧
計画案に載っている受信料額は、現在の額と同じです。月額のほかに、6か月前払と12か月前払の額も掲載されています。沖縄県は別の額になっており、特別契約も載っています。
計画案は「経営計画期間中は現行の受信料額を維持する」と明記しています。値上げをしない代わりに、収支を合わせるため、後述する支出の見直しを進める内容です。契約ごとの扱い(口座振替・クレジットカードなど支払方法による違い)は、ご自身の契約内容に合わせてNHK公式の案内で確認してください。
3か年収支計画の数字
計画案の事業収入は2027年度が6,207億円、2028年度が6,208億円、2029年度が6,210億円で、事業支出も同じ額です。収支差金は3年とも0で、還元原資などによる補填も使わない計画になっています。受信料収入は各年度5,830億円程度を見込んでいます。
画像出典: NHK経営計画(2027-2029年度)(案)をもとに作成
事業収入のうち受信料以外は、年に370〜380億円程度になる計算です。計画案は、NHKオンデマンド(NOD)の充実、コンテンツやIPの展開による副次収入、関連団体からの配当金などの財務収入で、受信料以外の収入を確保するとしています。
450億円・300億円の「支出見直し」の意味
計画案は、2024〜2026年度の経営計画で進めてきた1,300億円規模の支出削減を完遂し、2027年度の収支均衡を実現するとしています。そのうえで、業務改革により、2027年度は450億円、2028年度と2029年度は各300億円規模の支出見直しを行います。3年を単純に足すと1,050億円規模です。
ただし、これは「事業規模が1,050億円縮む」という意味ではありません。計画案は、見直しで生み出した原資を、重点投資とインフレ対応に充てると書いています。事業規模は年6,200億円を維持する前提です。
インフレへの見方
- 物件費約4,000億円規模に、消費者物価指数の上昇率2%を想定すると、設備投資コストを含めて毎年度100億円規模の増加を見込む
- 事業支出6,200億円規模を維持するには、2028年度以降、毎年度100億円程度の業務改革の効果が必要
- 改革を徹底しても吸収できない場合は、事業・収支計画全体を点検し、見直しを図る
物価上昇への対応を、料金の引き上げではなく業務改革で行う、という考え方です。実際にどこまで吸収できるかは、2028年度以降の実績を見ないと判断できません。物価高の最近の動きは、次の記事でも整理しています。
前払いにするといくら違うか
料金表の月額と前払い額から、前払いにした場合の差額を計算しました。月額を6倍・12倍した額から前払い額を引いた金額です(NHKの料金表の数字をもとにした計算で、公式が示す割引額ではありません)。
受信料額が3年間変わらないため、前払い額の差も同じ水準で続く計算です。一方、前払いは一度に払う金額が大きくなります。引っ越しや契約の変更が見込まれる場合は、払い戻しの扱いを事前に確認してください。
衛星放送の再編検討と未納対策
計画案は、重点方針の1つに「衛星放送の公共的価値の強化」を掲げています。視聴実態や技術・設備の変化を踏まえて、衛星放送全体のサービス構成について、再編に向けた検討を進めるとしています。受信料額を衛星契約1,950円のまま維持する一方で、衛星放送の中身は見直しの対象になります。具体的な再編の内容は、計画案には示されていません。
受信料収入の確保については、未納・未収対策を強化し、「法的措置を含む段階的な対応を行う」としています。対面アプローチなどさまざまな手段を使った契約の取次も拡大します。営業経費は、受信料収入の10%以内で管理するとしています。
2030年度以降のリスク
計画案は、支払数の減少が続けば、受信料収入が2030年度に5,600億円台まで低下するとも示しています。事業収入6,200億円規模を維持するには、受信料収入の安定確保が前提です。還元目的積立金(2026年度末残高は34億円の見込み)は、2030年度以降の経営計画期間で還元する原資とされています。
督促の対象や免除条件など、すでに始まっている受信料の取り立てについては、次の記事にまとめています。
意見募集の出し方と注意点
NHKは経営計画(案)について、2026年10月28日(水)から11月26日(木)まで意見を募集しています。郵送の場合は11月26日の消印が有効です。提出方法は、NHKホームページの専用フォーム、郵送、メールの3つで、メールはフォームと郵送のどちらも難しい人向けとされています。
画像出典: NHK経営計画(2027-2029年度)(案) 意見募集(募集要項)をもとに作成
- 文字数: 2,000文字以内
- 件数: 1人または1団体につき1件
- 言語: 日本語のみ
- 受付外: 電話、FAX、持参では受け付けていない
- 個別の回答: なし。意見は整理・要約して公表される場合がある
- 入力項目: 名前(カタカナ・漢字)、住まいの地域、メールアドレスまたは電話番号、年齢、性別、提出意見(個人の場合)
個人の意見は特定できない方法で公表され、会社・団体の場合は法人名とともに公表されます(匿名の希望も記入可)。専用フォームは、NHKの経営委員会の意見募集ページから進みます。
この記事が向いていない人
受信料の「引き下げ」や「支払い免除」の話を探している人には、向いていません。計画案が示しているのは現行額の維持で、値下げではありません。NHKの契約が必要かどうかの判断も、この記事では扱っていません。計画案の最終決定は、今年度中に行われる予定です。変更があれば、NHKの公式発表をご確認ください。
まとめ
・事業収入は年6,200億円規模(2027年度6,207億円、2028年度6,208億円、2029年度6,210億円)。受信料収入は各年度5,830億円程度。
・支出見直しは2027年度450億円、2028・2029年度各300億円規模。原資は重点投資とインフレ対応に充てる。
・衛星放送のサービス構成は再編に向けて検討される。未納対策は法的措置を含めて強化。
・意見募集は11月26日(木)まで。2,000文字以内、日本語のみ。
受信料額や計画の内容は、今後の審議で変更される可能性があります。最新の情報は、NHK公式サイトで確認してください。
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