【ノーベル医学賞】2026受賞は光遺伝学3氏|業績と日本人見送り

2026年10月5日 公開

2026年のノーベル生理学・医学賞が10月5日(月)夜に発表され、米スタンフォード大学のカール・ダイセロス氏、独フンボルト大学ベルリンのペーター・ヘーゲマン氏、独ヴュルツブルク大学のゲオルク・ナーゲル氏の3人に決まった。授賞理由は「光で開閉するイオンチャネルと光遺伝学に関する発見」。日本人の受賞はなかった。

結論

受賞は光遺伝学(オプトジェネティクス)を築いた3氏。藻類の光センサー「チャネルロドプシン」を神経細胞に組み込み、光を当てるだけで狙った神経だけをオン・オフできるようにした功績が評価された。日本人受賞者は今回なし。ノーベル賞の発表は10月12日(月)の経済学賞まで続く。

2026年ノーベル生理学・医学賞 ダイセロス ヘーゲマン ナーゲル 3氏の受賞発表グラフィック

画像出典: 画像出典: The Nobel Assembly at Karolinska Institutet / イラスト Niklas Elmehed

  • 受賞した3氏と授賞理由
  • 光遺伝学とは?仕組みを簡単に
  • 3氏の役割分担
  • 従来の方法との違い
  • 広がる応用と現状の限界
  • 日本人受賞なしの結果
  • 今後の発表日程
  • Xの反応
  • まとめ




受賞した3氏と授賞理由

発表は日本時間の10月5日18時30分。会見はスウェーデンのカロリンスカ研究所で開かれ、受賞者は次の3人。

ノーベル生理学・医学賞の受賞者を発表するカロリンスカ研究所の会見 スクリーンにダイセロス ヘーゲマン ナーゲル各氏

画像出典: 画像出典: AFPBB News

カール・ダイセロス氏(米国)
スタンフォード大学、ハワード・ヒューズ医学研究所に所属。チャネルロドプシンを神経細胞に導入し、光で神経活動を制御する方法を発展させた。
ペーター・ヘーゲマン氏(ドイツ)
フンボルト大学ベルリン所属。藻類のチャネルロドプシンの研究で2002年と2005年の発見に貢献した。
ゲオルク・ナーゲル氏(ドイツ)
ヴュルツブルク大学所属。ヘーゲマン氏とともに、光で開くイオンチャネルの性質を明らかにした。

授賞理由は英語で「for their discoveries concerning light-gated ion channels and optogenetics」。日本語では「光制御イオンチャネルと光遺伝学に関する発見」と訳されている。公式の発表はノーベル賞公式サイト(医学生理学賞)で確認できる。

2026年ノーベル生理学・医学賞 受賞者3氏のイラスト ダイセロス ヘーゲマン ナーゲル

画像出典: 画像出典: Ill. Niklas Elmehed (c) Nobel Prize Outreach(マイナビニュース掲載)




光遺伝学とは?仕組みを簡単に

光遺伝学は、光に反応するタンパク質の遺伝子を特定の神経細胞に組み込み、光を当ててその細胞の働きを制御する手法。核になるのが、単細胞の藻類が持つチャネルロドプシンというタンパク質だ。特定の光を受けると細胞膜のチャネルが開き、イオンが通る。

このタンパク質を神経細胞に作らせれば、光を当てた瞬間にその神経が興奮する。つまり、光がスイッチの役目を果たす。狙った種類の細胞だけを、神経活動と同じ速さのタイミングで操作できる点が特徴だ。

光を当てた神経細胞の活動を制御する光遺伝学のイメージ 青い光で興奮する神経細胞

画像出典: 画像出典: オプトロニクスオンライン

3氏の役割分担

今回の受賞は、基礎から応用への流れで成り立っている。

第1段階: 藻類の光センサーの発見(ヘーゲマン氏・ナーゲル氏)
藻類が光に反応する仕組みを調べ、光で開くイオンチャネル、チャネルロドプシンの性質を明らかにした。
第2段階: 神経細胞への応用(ダイセロス氏)
藻類のタンパク質を神経細胞に導入し、動物の脳で神経活動を光で操作する手法へ発展させた。

藻類の基礎研究が、脳科学の標準的な道具に化けた典型例といえる。授賞を決めた審査委員会は、光遺伝学を「生きている脳内で神経細胞がどのように記憶や感情、行動を形成しているかを示すことを可能にした手法」と説明している。

従来の方法との違い

神経を操作する方法はこれまでにもあった。違いを整理すると次の通り。

電気刺激
電極で神経を刺激する方法。周囲の細胞まで一緒に刺激してしまい、狙った細胞だけを選べない。
薬剤
薬で神経の働きを変える方法。効き始めと切れるまでの時間が遅く、神経活動の速さには追いつけない。
光遺伝学
対象の細胞を選び、光のオン・オフで即座に制御できる。高い時間分解能を持つ。

細胞の選択性と時間の精度を同時に確保できる点が、脳研究で一気に普及した理由とされる。

広がる応用と現状の限界

光遺伝学は、脳の神経回路を調べる基礎研究の道具として使われてきた。応用の例として、網膜の病気で光の感度を失った患者に光感受性タンパク質を導入する視覚再生の研究がある。視覚を失った患者が物体を見分けたり、つかんだりできるようになった例も報告されている。

向かない人・注意点

光遺伝学は細胞に遺伝子を入れる前提の技術で、臨床応用はまだ研究段階にある。「受賞したから明日から病気が治せる」という話ではない。治療としての実用化を知りたい人には、この記事の範囲では足りない。医療情報は、担当医や各研究機関の発表を確認してほしい。

関連して、脳の病気の研究についてはアルツハイマー病の新発見の記事でも扱っている。




日本人受賞なしの結果と過去の受賞

今回は日本人の受賞者は出なかった。NHKは発表前に、この賞ではこれまで6人の日本人が受賞していると伝えていた。事前の注目候補として、森和俊氏(名城大学)や柳沢正史氏(筑波大学)らの名前が報じられていた。

ちなみに、2025年は医学生理学賞を坂口志文氏が、化学賞を北川進氏が受賞している。受賞予想の経緯や日本人候補の整理は発表前のまとめ記事にまとめてある。日本の研究環境については京都大学の国際卓越研究大学認定の記事も参考になる。

また、2026年7月11日には、1987年の医学生理学賞受賞者である利根川進氏が86歳で死去した。理研や京都大学が発表している。

ノーベル賞のメダル アルフレッド・ノーベルの肖像

画像出典: 画像出典: マイナビニュース掲載画像

今後の発表日程(日本時間・目安)

10月6日(火) 物理学賞 18:45頃
10月7日(水) 化学賞 18:45頃
10月8日(木) 文学賞 20:00頃
10月9日(金) 平和賞 18:00
10月12日(月) 経済学賞 18:45頃

時刻はこれまでの例にならった目安で、変更される場合がある。日程の詳細はノーベル賞2026の日程まとめを参照。

Xの反応

「ダイサロス先生,きたーーーーー!」

— 日経サイエンス (@NikkeiScience) (2026年10月5日)

「2026年のノーベル生理学・医学賞は,アメリカのカール・ダイセロス博士,ドイツのペーター・ヘーゲマン博士とゲオルグ・ナーゲル博士に贈られることが決まりました。授与理由は「光制御イオンチャネルと光遺伝学に関する発見」です。」

— 科学雑誌Newton公式 (@Newton_Science) (2026年10月5日)

「光遺伝学の手法により脳や神経の働きを「見てるだけ」じゃなくて「制御できる」ようになったから「この細胞の働きを入れたら、切ったらどうなるの?」が出来るようになって、脳神経を始めとする医学の研究が大きく進んだの図〜!」

— ゆず大腸菌が好き (@kamo_kamos) (2026年10月5日)




まとめ

  • 2026年ノーベル生理学・医学賞は、ダイセロス氏・ヘーゲマン氏・ナーゲル氏の3人。
  • 授賞理由は光で開閉するイオンチャネルと光遺伝学の発見。光で狙った神経だけを操作できる。
  • 視覚再生などへの応用研究が進む一方、治療としての実用化は研究段階。
  • 日本人の受賞はなし。残りの賞は10月6日から順次発表される。

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参考・出典

本記事は2026年10月5日時点の報道と公式発表をもとにしている。受賞に関する最新情報はノーベル賞公式サイトで確認してほしい。





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