(2026年10月23日 公開)
東京五輪の男子20km競歩銀メダリスト、池田向希(旭化成)に科されていた4年間の資格停止処分が、2026年10月23日にスポーツ仲裁裁判所(CAS)によって取り消されました。CASは池田選手がアンチ・ドーピング規則違反を犯していないと判断し、即時の競技復帰を認めています。
先に結論
- 池田選手の訴えは全面的に認められ、AIU(世界陸連の独立監視部門)側の決定は取り消し
- 取り消された2023年6月20日以降の成績も認められ、パリ五輪7位も維持
- 2028年ロス五輪へ向けた出場の道が開いたが、復帰戦の日程は未発表

写真: 旭化成 陸上部 選手プロフィール(公式)より
目次
結論|CASは何を認めたのか
時事通信によると、CASは23日、AIU(アスレティックス・インテグリティ・ユニット)が池田選手に科した4年間の資格停止処分を取り消す裁定を発表しました。池田選手側が示した生理学的・医学的な説明と、それを裏付ける証拠をCASが認め、「ドーピング違反はしていない」と判断した形です。
旭化成のリリースでも、この裁定により「池田選手に資格停止処分は科されず、直ちに競技活動への復帰が認められる」と説明されています。つまり「処分が軽くなった」のではなく、違反そのものが認められなかった点が今回の核心です。
資格停止から取り消しまでの時系列
問題が表に出たのは2024年6月で、取り消しまでに2年以上かかっています。月刊陸上競技と旭化成の発表をもとにした流れは次のとおりです。

出典: 旭化成プレスリリース・月刊陸上競技・時事通信
疑いが浮上するまで(2023〜2024年)
月刊陸上競技によると、AIUが2023年6月〜8月に実施した血液検査の値から、血液ドーピングの疑いがあるとして2024年6月28日に池田選手側へ指摘がありました。血液ドーピングとは、事前に採取した自分の血液を大会前に体内へ戻して赤血球量を増やし、パフォーマンス向上を狙う方法のことです。
池田選手側は7月24日に弁明書を提出しましたが、11月1日にAIUから正式にアンチ・ドーピング規則違反として立件するとの通知と、解決までの暫定的な資格停止処分が告げられました。池田選手と旭化成はこれを真っ向から否定し、取り消しを求める申し立てなどを行っています。
一審の懲戒委員会で4年間の資格停止(2025年2月)
2025年2月6日〜8日に世界陸連の懲戒委員会(Disciplinary Tribunal)の審問が行われ、2月14日に違反が認定されました。2023年6月20日以降の成績取り消しと、2024年11月1日から4年間の資格停止という内容で、池田選手のパリ五輪7位も取り消されていました。
CASへ提訴、対面審理を経て全面勝訴(2025年3月〜2026年10月)
池田選手側は2025年3月にCASへ不服申し立てを提訴。双方の主張交換の後、2026年5月にスイス・ローザンヌのCAS本部で対面のヒアリングが行われ、双方が出した主張や専門家の意見をもとに検証が進みました。そして10月23日、池田選手の訴えを全面的に認める裁定が公表されました。
なぜ覆ったのか|CASが認めた理由
月刊陸上競技が伝えたCASの判断によると、池田選手側が提出した証拠について、次のように評価されています。
スポーツニッポンは、CASが血液の数値そのものは「異常」としつつ、池田選手側が示した異常値を説明する複数の要因を「妥当」と判断し、ドーピング違反にあたらないとしたと報じています。数値が異常だったこと自体は否定されておらず、その原因がドーピングではなく別の要因で説明できるかどうかが争点だったことがわかります。
一審と何が違ったのか
一審の懲戒委員会ではAIUの判断が覆りませんでしたが、CASでは池田側の証拠が「第一審より豊富かつ具体的」と評価されました。公表されている範囲では、判断を分けたのは証拠の厚みだったと読み取れます。ただし、どの要因・どの医学的説明が認められたのか、裁定の詳細な理由は現時点で個別の項目まで公表されておらず、本稿では確認できた範囲にとどめています。
処分取り消しで何が変わるか
一審の決定と今回のCAS裁定を並べると、影響の大きさがわかります。

出典: 月刊陸上競技・Yahoo!ニュース(スポニチ)・時事通信
この裁定が向かない読者への注意
今回の記事は「池田選手が競技に戻れる」ことを確認する内容で、レース出場の具体的な日程や、ロス五輪の代表入りが決まったという話ではありません。すぐに試合が見られると期待して予定を組むのは早い段階です。
ロス五輪への道と復帰戦の見通し
スポーツニッポンは、今回の裁定で池田選手が2028年ロサンゼルス五輪への出場に向けた道が開けたと報じています。処分が続いていれば、2028年ロス五輪はちょうど資格停止期間(2024年11月1日から4年間)の途中にあたり、出場できなかったためです。
一方で、出場が確定したわけではありません。五輪の代表になるには、日本陸連の選考や出場資格の条件を満たす必要があります。復帰戦の時期についても、本稿作成時点で旭化成や日本陸連から日程の発表は確認できていません。AIU側の公式コメントも、確認できた範囲では見当たりませんでした。

他競技でもロス五輪へ向けた動きが続いています。あわせて、世界体操2026の女子団体銅メダルとロス五輪切符や、男子バレーのアジア選手権優勝とLA五輪の記事もご覧ください。
池田向希のコメント全文要旨と主な戦績
池田選手は旭化成を通じて、次のコメントを発表しています(時事通信・デイリースポーツの報道より要旨)。
「本日、スポーツ仲裁裁判所の判断が示され、私の主張が認められたことについて、まずは安堵しています。自分自身の権利と競技人生を守るため、正面から向き合ってきました。時間はかかりましたが、このような結論に至ったことは、一人のアスリートとして大きな意味を持つものと受け止めています。今後は、この経験を糧に競技に真摯に向き合い、結果で応えられるよう努力していきます」
池田選手は1998年5月3日生まれ、静岡県出身の28歳。旭化成陸上部の公式プロフィールに掲載されている20km競歩の主な戦績は次のとおりです。

出典: 旭化成 陸上部 選手プロフィール(主な戦績)
世界の舞台で結果を残してきた選手であることがわかります。2024年2月の日本選手権20km競歩では1時間16分51秒の大会新記録で優勝し、同年8月のパリ五輪では1時間19分41秒で7位でした。なお、公式プロフィールは旭化成の選手ページで確認できます。
よくある質問
まとめ
- CASは2026年10月23日、池田向希選手の4年間の資格停止処分を取り消し、違反なしと裁定
- 判断の決め手は、異常値を説明する生理学的・医学的な要因と、一審より豊富で具体的な証拠
- 成績取り消しも覆り、パリ五輪7位は維持。ロス五輪への道も開いた
- 復帰戦の日程や代表入りは未定。続報は旭化成・日本陸連の発表を待つ段階
続報があれば、この記事を更新します。ほかのスポーツニュースは古賀若菜の世界柔道初優勝の記事もあわせてご覧ください。
参考・出典
本記事は2026年10月23日時点の報道・発表にもとづいています。復帰戦の日程や代表選考などの最新情報は、旭化成や日本陸連の公式発表でご確認ください。
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