政府は2026年8月5日、低所得の働き手などを個人単位で支援する新制度「給付付き税額控除」について、制度導入の基本方針を閣議決定しました。本格導入は2029年度(令和11年度)で、それまでの2年間は2027年4月から食品の消費税を実質1%に引き下げる「つなぎ」措置で対応します。本記事では、閣議決定で固まったつなぎ措置の中身、対象者の条件、今後必要になる手続き、注意点までを内閣官房・内閣府の公表資料にもとづいて整理します。
目次

2026年8月5日、給付付き税額控除の制度導入の基本方針が閣議決定された
給付付き税額控除とは?8月5日閣議決定の全体像
「給付付き税額控除」は、所得税の負担が少ない・またはほとんどない層に対して、税額控除しきれない分を現金で給付する仕組みです。政府が公表した基本方針では、正式には「所得に連動したきめ細かな給付」という制度名で整理されており、一律にお金を配る従来型の給付金とは異なり、所得水準に応じて給付額が段階的に変わる設計になります。
制度は超党派の社会保障国民会議で2026年7月16日に大枠が合意され、7月22日の実務者協議ではつなぎ措置をめぐって与野党の意見が割れる場面もありましたが、7月29日の中間とりまとめを経て、8月5日に政府が正式に制度導入の基本方針を閣議決定しました。導入は一段階ではなく、次の2段階で進みます。
① つなぎ期間(2027年度〜2028年度)
本格導入までの2年間、食品の消費税実質引き下げと簡易的な「つなぎ給付」で対応
② 本格導入(2029年度・令和11年度)
所得に連動したきめ細かな給付を制度として本格運用開始
いつ決まる?9月大綱決定から臨時国会までのスケジュール
8月5日の閣議決定はあくまで「基本方針」であり、給付額や所得基準といった具体的な数字はまだ決まっていません。高市首相は同日の記者会見で、今後の進め方について次のように表明しています。
STEP1:9月に与党税制大綱を決定
給付額・所得基準などの詳細を詰めた「大綱」を9月中に取りまとめる方針です。
STEP2:秋の臨時国会に法律案を提出
大綱決定後、関連法案を臨時国会に提出し早期成立を目指すとしています。臨時国会の召集時期は当初9月下旬が想定されていましたが、9月3日時点の報道では10月上旬(10月5日を軸に検討)への後ろ倒しが伝えられています。会期は3か月近く、会期末を12月下旬とする案が取り沙汰されています。
STEP3:法案成立後、家計への反映は2027年4月以降
法案が成立しても、飲食料品の消費税実質1%への引き下げは2027年4月1日から、つなぎ給付は2027年度からの開始予定です。今すぐ家計に反映されるわけではない点に注意しましょう。
※臨時国会の召集日・会期は調整中の情報であり、今後変更される可能性があります。最新の日程は国会・政府の公式発表でご確認ください。
対象になるのは誰?ケース別にみる条件
閣議決定された基本方針では、対象者は世帯単位ではなく個人単位で判定される方針が明記されました。単身者も対象に含まれる点が、これまでの世帯単位の給付金とは異なるポイントです。ケース別に条件を整理すると、次のようになります。
ケース1:単身者・給与所得者
一定の勤労性の所得(給与所得など)がある人が対象。個人単位で判定されるため、配偶者の有無にかかわらず本人の所得水準で決まります。
ケース2:個人事業主・フリーランス
基本方針では事業所得や業務に係る雑所得も勤労性の所得として明記されており、個人事業者・フリーランスも対象に含まれるとされています。
ケース3:中低所得の高齢者
就労しており、税や社会保険料などの負担が現役世代並みになっている中低所得の高齢者も対象として想定されています。
「年収の壁」を意識して働き控えをする人が出ないよう、所得が伸びるほど手取りも増えていく設計を目指す方針です。低所得世帯・個人向けの既存の支援策としては、住民税非課税世帯給付金2026もあわせて確認しておくと役立ちます。なお対象範囲を検討する際の所得の目安として、社会保険料の負担が生じる「106万円の壁」や、雇用保険の適用ライン(給与収入約53万円超)などの水準が議論の参考として挙げられていますが、これらはあくまで検討段階の例示であり、正式な所得基準は今後の法案審議で確定します。
つなぎ措置の中身|2027年4月から食品消費税が実質1%に
本格導入(2029年度)までの2年間は、次の2つの措置を組み合わせた「つなぎ」対応が閣議決定されました。
①消費税率の引き下げ
2027年4月1日から2年間、軽減税率の対象となっている飲食料品の消費税率を8%から1%に引き下げます。
②つなぎ給付
2027年度に導入。消費税1%相当分の予算の範囲内で、現在利用できる公的な所得情報をもとに「所得に連動したきめ細かな給付」を先行的に簡易な形で実施します。
政府はこの2つを組み合わせることで、「飲食料品にかかる消費税の実質ゼロ化」を実現するとしています。なお、外食は軽減税率(食品の消費税)の対象外であるため、今回の1%引き下げの対象にも含まれません。外食産業への影響については、2027年4月の実施を前に資金繰り支援などの対応を検討するとされています。飲食料品の消費税引き下げそのものの詳しい経緯や試算は、食料品の消費税1%はいつから?8月5日閣議決定・2027年4月で詳しく解説しています。
こども加算については、つなぎ期間中は15歳以下の子どもを対象に加算する一方、本格導入後(2029年度)は18歳以下まで対象年齢が広がる方針が示されています。つなぎ期間と本格導入で加算の対象年齢が異なるため、混同しないよう注意が必要です。
今から準備できること|手続きをステップで確認
つなぎ給付・本格導入とも、詳しい申請方法はまだ確定していません。ただし、閣議決定の基本方針では給付をスムーズに受け取るための土台として、次のような準備の重要性が示されています。
STEP1:公金受取口座を登録・確認する
マイナンバーとひもづけて給付金等を受け取る「公金受取口座」の登録率は現状およそ5割にとどまっています。政府は登録率の向上を目指す方針を示しており、口座登録がスムーズな給付受け取りの鍵になると見られます。未登録の場合はマイナポータル等から早めに登録しておくと安心です。
STEP2:所得情報が最新か確認する
つなぎ給付は「現在利用可能な所得情報」をもとに判定される見通しです。個人事業主・フリーランスは確定申告、給与所得者は年末調整など、所得情報が正しく反映されているかを日頃から確認しておくと、将来の給付判定でも安心です。
STEP3:法案審議・自治体からの案内を待つ
2027年4月の消費税引き下げ、2027年度のつなぎ給付とも、具体的な申請要否や手続き方法は今後の法案審議・自治体の案内で確定します。現時点でできる手続きはなく、公式発表を待つ段階です。
負担軽減はどのくらい?つなぎ期間と本格導入の比較
つなぎ期間(2027年4月〜2年間)の負担軽減イメージ
食品の消費税が8%→1%になることで、税抜き価格が変わらない前提では実質7%分ほど負担が軽くなります。食費が月5万円(税込8%)の世帯なら、月あたり約3,200円・年間約3万9,000円ほどの負担減となる計算です(税込価格から税抜価格を逆算し、税率を1%に置き換えた概算)。ここに、消費税1%相当分の予算内で実施されるつなぎ給付が所得に応じて上乗せされます。
本格導入(2029年度)の給付イメージ
議論の参考値として1人あたり4万円という金額が挙げられたことがありますが、所得に連動したきめ細かな給付を目指す制度のため、一律の固定額ではありません。具体的な給付額・所得基準は今後の法案審議で確定する見通しです。
※上記は2026年8月5日時点で公表されている基本方針にもとづく概算・参考値です。正確な金額は今後の法案審議・政府の正式発表でご確認ください。
注意点・落とし穴|まだ決まっていないこと
- 具体的な給付額・所得基準の数字はまだ確定していません。8月5日の閣議決定は「基本方針」であり、詳細制度は今後の法案審議で詰められます。
- こども加算の対象年齢はつなぎ期間は15歳以下、本格導入は18歳以下と異なるため、時期によって条件が変わる点に注意しましょう。
- つなぎ給付は「消費税1%相当分の予算の範囲内」で実施される簡易的な給付で、本格導入時の「所得に連動したきめ細かな給付」とは制度設計が別物です。金額や対象を混同しないようにしましょう。
- 外食は軽減税率の対象外のため、2027年4月からの消費税1%引き下げの対象にも含まれません。対象はあくまで飲食料品(軽減税率の対象品目)です。
- 本格導入には恒久的な財源の確保が必要とされ、特例公債(赤字国債)には頼らない方針です。財源の議論次第で、他の税制・社会保険制度の見直しとあわせて検討が進む可能性があります。
- つなぎ措置の財源も特例公債は避け、補助金・租税特別措置の見直しや追加的な税外収入で賄う方針とされており、今後の予算編成の動向にも注目が必要です。
Xでの反応
8月5日の閣議決定後、X上ではさまざまな受け止めが投稿されています。
給付付き税額控除の「控除」よりも給付の側面が強まったことについて、中間層にとっては実質的な負担増になるのではないかと懸念する声。
高市首相が進める税制改革の一環として、消費税の実質的な引き下げにつながる点を前向きに評価する声も見られました。
つなぎ措置と本格導入の関係がやや複雑なこともあり、「いつから何が変わるのか分かりにくい」といった声も見られます。制度の詳細が固まるにつれて、こうした反応は今後も変化していきそうです。
よくある質問(FAQ)
Q. 8月5日に何が決まったのですか?
A. 政府が「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針を閣議決定しました。本格導入は2029年度で、それまでの2年間は食品の消費税を実質1%に引き下げる「つなぎ」措置で対応する方針が固まりました。
Q. いつから始まりますか?
A. 消費税の実質1%への引き下げは2027年4月1日から2年間。つなぎ給付は2027年度に導入されます。所得に連動したきめ細かな給付としての本格導入は2029年度(令和11年度)です。
Q. 誰が対象になりますか?
A. 個人単位で判定され、単身者も対象です。一定の勤労性の所得(給与所得・事業所得・業務に係る雑所得)がある人が対象で、個人事業主やフリーランスも含まれます。就労している中低所得の高齢者も対象として想定されています。
Q. 消費税は本当に下がりますか?
A. はい。2027年4月1日から2年間、軽減税率対象の飲食料品にかかる消費税率が8%から1%に引き下げられることが閣議決定されました。ただし外食は軽減税率の対象外のため、この引き下げの対象にも含まれません。
Q. 給付額はいくらですか?
A. 具体的な金額はまだ確定していません。つなぎ給付は消費税1%相当分の予算の範囲内で実施される見通しで、本格導入時は所得に応じたきめ細かな給付となるため一律の金額ではありません。参考値として1人4万円という数字が挙がったこともありますが、確定額ではありません。
Q. こどもがいる場合の加算はどうなりますか?
A. こども加算の対象年齢は、つなぎ期間(2027年度〜)は15歳以下、本格導入後(2029年度〜)は18歳以下と、時期によって異なります。
Q. 今、何か手続きが必要ですか?
A. 現時点で必要な申請手続きはありません。ただし、マイナンバーとひもづく「公金受取口座」を登録しておくと、将来の給付をスムーズに受け取りやすくなると見られます。具体的な申請方法は今後の法案審議・自治体案内で確定します。
Q. 臨時国会はいつ召集されますか?
A. 高市首相は9月に与党税制大綱を決定したうえで秋の臨時国会に法案を提出する方針を表明しています。当初は9月下旬召集が想定されていましたが、9月3日時点の報道では10月上旬(10月5日を軸)への後ろ倒しが伝えられています。正式な召集日は今後の政府発表で確定します。
まとめ
- 2026年8月5日、政府が「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針を閣議決定
- 本格導入は2029年度。それまでの2年間は2027年4月から食品の消費税を実質1%に引き下げる「つなぎ」措置で対応
- 対象は個人単位。単身者・個人事業主やフリーランス・就労する中低所得の高齢者も対象に
- こども加算の対象年齢はつなぎ期間は15歳以下、本格導入は18歳以下と異なる
- 具体的な給付額・所得基準は今後の法案審議で確定。公金受取口座の登録がスムーズな受給の鍵になりそう
制度の詳細はこれから法案審議で詰められる段階です。給付額や所得基準など具体的な情報が固まり次第、公式発表をもとに随時更新していきます。物価高対策として今すぐ使える支援策も、あわせてチェックしておくと安心です。プレミアム付デジタル商品券の最新情報も参考にしてください。
※本記事の内容は2026年8月5日の閣議決定にもとづく基本方針を、内閣官房・内閣府の公表資料をもとに作成しています。制度の詳細や実施時期は今後の法案審議で変更される可能性があるため、最新情報は内閣官房・財務省の公式発表でご確認ください。
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