ボンボンドロップシールはなぜ流行ったのか?平成女児の「あの頃」が鍵だった
最近、SNSやフリマアプリで「ボンボンドロップシール」を見かける機会が増えました。文具メーカーのクーリアが2024年3月に発売したこのシールは、わずか1年半ほどで1300万枚以上が出荷され、現在も品薄状態が続いています。なぜここまで爆発的に売れているのか。その答えは、平成時代に子供だった世代の「あの頃の記憶」にありました。
ボンボンドロップシールとは
通称「ボンドロ」と呼ばれるこのシールは、樹脂でぷっくりと膨らんだ立体感とツヤツヤした質感が特徴です。キラキラと光る見た目がまるで飴やグミのようで、その名前もそこから来ています。1シートに約40個のシールが貼られており、価格は税込み500円程度。もともとは子供向けに開発された商品でした。
本当の購買層は「かつての子供たち」
ここが重要なポイントです。実際にボンボンドロップシールを購入しているのは、現在の子供だけではありません。むしろ購買を牽引しているのは、平成時代に小学生だった現在20代から30代の女性たちです。
平成の小学生にとって、シール交換は定番の遊びでした。友達と見せ合い、交換し、自分のコレクションを増やしていく。キラキラしたシール、ぷっくりしたシール、レアなシールを持っていることがステータスだった時代があります。
でも当時は子供です。お小遣いには限りがあり、欲しいシールを全部買うことなんてできませんでした。「このシート全部欲しいのに」「もっとたくさん集めたいのに」という気持ちを抱えながら、限られたお金でやりくりしていた記憶がある人は多いのではないでしょうか。
大人になった今、あの頃の夢を叶えられる
そして時は流れ、あの頃の子供たちは社会人になりました。自分で稼いだお金を自由に使える立場になった今、彼女たちは思うのです。「あの頃欲しかったものを、今なら好きなだけ買える」と。
「幼い時にかなえられなかったぜいたく感を味わいたい」という消費行動が根本にあると考えられます。500円のシールを何シートも買うことは、大人にとっては大した出費ではありません。でもその行為には、子供時代の自分を満たすという意味があるのです。
シール交換という文化の復活
興味深いのは、単にシールを買うだけでなく「シール交換」という遊び自体が復活していることです。友達と集まってシールを交換し、レートの高いシールを求めて盛り上がる。これはスマホが当たり前になる前の、アナログな時代の遊び方そのものです。
原田教授は「スマホを持つ前の、アナログでみんなで共通話題があった時代に対する懐かしさや憧れも要因としては大きいのではないか」と指摘しています。デジタルネイティブと言われる世代であっても、子供時代はまだアナログな遊びが残っていました。その記憶が、今になって蘇っているのかもしれません。
SNSとの相性の良さ
もちろん、流行にはSNSの存在も欠かせません。ボンボンドロップシールはスマホケースに貼ってデコレーションする楽しみ方がSNSで広まり、一気に認知度が上がりました。光を受けてキラキラ輝く見た目は写真映えしますし、デコレーションの過程を動画にすれば再生数も稼げます。
ただ、これはあくまで火付け役であり、本質的な流行の理由ではないと私は考えています。SNS映えするアイテムは世の中に無数にありますが、その全てがここまでの品薄になるわけではありません。やはり「平成女児」という明確なターゲット層の心を掴んだことが、この爆発的な人気の根底にあるのでしょう。
「高レート」を求める大人たち
シール交換の世界では、ボンボンドロップシールは「高レート」つまり価値が高いシールとして扱われています。中には自分でボンドや樹脂を使って自作する人まで現れているとのこと。子供の頃と同じように、いやそれ以上の熱量でシール文化に没頭する大人たちがいるのです。
子供時代に「あのシール持ってるの?すごい!」と言われた記憶。レアなシールを持っている子への羨望。そういった感情を、大人になった今また味わえる。これは単なるノスタルジーではなく、過去の自分との対話なのかもしれません。
平成レトロブームの一端として
ボンボンドロップシールの流行は、より大きな「平成レトロブーム」の一部として捉えることもできます。たまごっち、プリクラ、ルーズソックス。平成時代に流行したものが次々と再評価され、当時を知る世代が懐かしみながら、当時を知らない世代が新鮮さを感じながら楽しんでいます。
シール交換もその流れの中にあります。レコードやインスタントカメラなど、デジタル世代がアナログ文化を「新しいもの」として楽しむ現象は世界中で起きており、日本のシール交換ブームもその一環と言えるでしょう。
結局のところ、ボンボンドロップシールが売れている最大の理由は、平成時代に子供だった世代が大人になり、あの頃叶えられなかった「好きなだけシールを買いたい」という夢を実現できるようになったことに尽きます。500円のシールの向こうに、彼女たちは自分の子供時代を見ているのです。

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